森岡ほのか

174cmのサイズで司令塔を担い平均27.5得点、6.5アシストを記録

今年のウインターカップ女子において、準優勝の札幌山の手はアップテンポな展開から3ポイントシュートを積極的に放つスモールバスケットボールで会場を沸かせた。1回戦から3試合連続で100点ゲームを達成するなど、81-99で京都精華学園に敗れた決勝以外の5試合は全て92得点以上と大会随一の攻撃力を見せた。このハイパワーオフェンスの要となっていたのが3年生の森岡ほのかだ。

サイズ不足の札幌山の手にあって、174cmと森岡はチームで最も長身が高い選手でありながら、ポイントガードとしてチームを牽引。ゴール下への力強いドライブと3ポイントシュートにより、内と外の両方でコンスタントに得点を挙げると、非凡なパスセンスで味方のシュートチャンスも作りだし、6試合で平均27.5得点、6.5アシスト、6.3リバウンドと今大会最強のオールラウンダーとして躍動した。

あと一歩で日本一を逃したことで「もっと良い試合ができたのかなと思いますし、この結果に満足はしていないです」と森田は悔しさを見せる。だが、夏のインターハイを新型コロナウィルスの影響で出場を辞退した中、全国の舞台で自分たちのやりたいバスケットを最後まで貫けたことへの充実感もあった。

「自分たちはインターハイに出られなくて最初で最後の全国大会でしたが、みんなの勝ちたいという強い気持ちがこの結果に繋がったと思います。山の手の走るバスケット、最後まであきらめない気持ちを出せてみんなで戦えたのは良かったと思います」

そして、自身のプレーをこのように総括する。「個人ではもっと1対1で積極的に行ける場面もありました。課題が残る大会でしたが、課題があるということは成長に繋がると思います。ここをクリアして次の舞台でも成長していきたいです」

その類い稀な才能により、森岡は1年生の秋からキャプテンに抜擢されるなど、名実ともにチームの絶対的なエースを担っていた。この大きな期待に応えるパフォーマンスを続けていた彼女だが、それ故に周囲から山の手は森岡のワンマンチームという見方をされることもあったが、今大会の山の手は森岡だけのチームでなかったことは明らかだ。ベスト4で21得点、ベスト8で32得点を挙げた岡井遥香など、森岡を起点に他の選手たちも次々と積極的に攻め続けたからこそ得点を量産し、勝ち進むことができた。森岡はチームメートたちへの感謝を強調する。

「この1年間はコーチの上島(正光)さんからも『ほのだけの得点じゃダメだ』とずっと言われていました。この大会はみんなが成長してくれたから、決勝まで来られました。みんなに勝たせてもらいました」

森岡ほのか

上島コーチが語る町田との比較「森岡の方が得点能力は数段上です」

世代屈指の非凡な才能をウインターカップの大舞台でも存分に披露した森岡の次の舞台はWリーグで、1月6日より出場可能となるアーリーエントリーで日立ハイテククーガーズへの加入が発表されている。

「ポイントガードをできるのが自分の武器だと思っています」と森岡が語るように、日本で司令塔といえば170cm以下の選手がほとんどの中、174cmのサイズは大きな魅力だ。そして自身の目標として、札幌山の手の先輩であり、日本随一の司令塔である町田瑠唯を挙げた。

「この身長でも町田選手みたいな速い展開に持っていける選手になりたいです。町田選手はスピードだけでなく緩急を使って守備を突破していきます。自分もそういうプレーで相手をだましたり、駆け引きをしていきたいです。そして味方に3ポイントシュートを打たせてあげるアシストをできたらいいと思います」

そして上島コーチは、森岡と高校時代の町田をこのように比較する「視野の広さは変わらないです。森岡の方が得点能力は数段上ですし、身長もあります。今の彼女に一番求められるのはスピードだと感じています」

上島コーチが語るように、森岡は一流の司令塔に欠かせないコートビジョンをすでに備えている。それに加え、自分より12cmも低い町田と同等のスピードを身につけることができた場合、それは次代の女子バスケットボールを担う存在になるはずだ。

「この経験を無駄にしたくないです。みんなでがんばってきた成果をしっかり自分の成長に繋げて今日みたいに楽しく戦いたいです」。このように新たなステージに向けた意気込みを語った森岡が、躍動感溢れるプレーをWリーグでも披露し、大きな旋風を巻き起こしてくれるのが今から楽しみだ。