八村塁

写真=Getty Images

NBAドラフトの注目株とのマッチアップで一歩も引かず

招待トーナメント大会「マウイ・インビテーショナル」に参加しているゴンザガ大は、現地21日に行われた決勝戦に進出。名門デューク大とファイナルで対戦し、89-87で競り勝った。

3年生となりゴンザガ大のエースとなった八村塁は、アリゾナ大との準決勝で24得点6リバウンドと絶好調。その勢いでNCAA最大のタレント軍団であるデューク大と激突した。ファーストプレーで来年のNBAドラフトでの注目株であるザイオン・ウィリアムソンのシュートをブロック。その後も堂々と渡り合う。次々とブロックショットを決めるリムプロテクターとして奮闘すると、得意のポストアップ、そこから転じてのミドルシュートで得点を重ねていく。

前半を47-39とリードして折り返すも、後半はデューク大の猛追を浴びることに。八村はディフェンスで走り、何度も跳び、フィジカルなマッチアップを続けたことで消耗も激しく、試合中盤からはシュートの成功率が落ちたが、「集中力を失いかけたけど、チームメートとコーチのおかげでゲームに戻ることができた」と試合後に語るようにカムバックし、チームを引っ張り続けた。

残り1分41秒でザイオンの得点で87-87、ずっとビハインドを背負っていたデューク大に追い付かれるも、ゴンザガ大はこの勢いに飲み込まれることなく踏ん張る。八村の20得点目となるレイアップが決まり、ゴンザガ大の2点リードで残り10秒を切った場面、デューク大は最後のチャンスを、U-19世界選手権MVPでザイオンに並ぶドラフト注目候補のRJ・バレットに託す。このアタックに対応したのは八村。相手の動きにしっかり付いていき、ファウルせずに守り切った。

最後は大混戦となったが、「デューク大の選手よりも自分たちの方が経験がある。ラスト5分の状況を想定した練習もしているし、だからうまく対応できた」と八村は勝因を語る。この点、デューク大はNBAドラフトの注目株を擁すとしても、彼らは1年生。上級生主体のゴンザガ大が経験とチーム力を生かして上回った。

八村は20得点7リバウンド5アシスト3ブロックと素晴らしいスタッツを残したが、インパクトはそれ以上と言っていい。大会MVPも受賞した。「名前を呼ばれた時は何を言っているのか分からなかった。この大会にMVPがあることも知らなくて、チームメートたちの様子がおかしいなと」と困惑するも、満面の笑みで優勝トロフィーを受け取った。

「今のキャバリアーズに勝てる」と話題のデューク大を撃破したことは大きな注目を集める。そこでMVPの活躍を見せた八村の注目度が高まったのは間違いない。これから始まるシーズン、そしてその後に待つNBAドラフトがより楽しみになってきた。