あこがれのコートで44得点「ここは僕にとって特別な場所だ」
敵地でのレイカーズ戦、相手の怒涛の反撃を浴びて崖っぷちまで追い詰められながら、セルティックスは押し返して延長に持ち込み、スタミナ切れを起こしたベテラン揃いのレイカーズを打ち倒した。
とはいえ、若ければいくらでもプレーできるわけではない。44分プレーして44得点を挙げたジェイソン・テイタムは、試合終了直後にコート上でのインタビューに呼ばれると、膝に手を当てて身体を支えなければ立っていられなかった。最初に絞り出したのは「ああ、疲れた!」の一言だ。
第3クォーター途中まで20点のリードを奪い、あとは流して終わるはずの試合だったが、とんでもなくアップダウンの激しい試合となった。前日のクリッパーズに続く連戦で疲弊は激しかったが、何とか勝利して3連敗は免れた。
一度ロッカールームに引き上げた後の会見でも、「本当に疲れた。大変な試合だった」がテイタムの第一声だった。
「残り3分で12点差でそのまま逃げ切られるところだった。スティールにリバウンド、相手の攻撃を止めて全員で攻める、そのすべてが必要だったし、すべてが正しい方向に進んだことで、ようやく勝つチャンスを取り戻せた。オーバータイムというチャンスを生かして勝ったんだ」
「3連敗で遠征を終えたとしたら本当に最悪だった。今回の遠征を良いものにするために、みんな多くの準備に取り組んできたんだ。4勝2敗で帰ることができて良かったよ」
ヘッドコーチのジョー・マズーラからは、この試合前にテイタムとジェイレン・ブラウンの2人がもっとリーダーシップを発揮するよう求められたそうだ。「前回の試合での僕のプレーはひどかったからね。自分の行きたい場所に到達するには、すべての試合で責任を果たさなきゃいけない。どのチームも僕らに手加減はしてくれない。どの試合でもそう考えてコートに立たなきゃいけないんだ」
それと同時に、テイタムは試合を楽しむ気持ちを失ってはならないとも言う。「先の2試合(敗れたウォリアーズ戦とクリッパーズ戦)では、完璧でなければいけないというプレッシャーを自分自身にかけてしまったように思う。緊張でガチガチで、プレーを楽しむ余裕を失っていた。でも、それは違う。激しく戦う中でも、楽しむ気持ちが大事だ。僕らがやってきたのは、仲間とバスケを楽しむこと。今日はその気持ちを取り戻したことで、上手くやれたんだと思う」
そしてもう一つ、テイタムは自身をリズムに乗せた要素が、子供の頃からあこがれたクリプト・ドットコム・アリーナ、彼にとっては今も『ステイプルズ・センター』という名の舞台だと考えている。
「僕たちは年に何回かしかここに来ることができない。でも、ここは僕にとって特別な場所だ」とテイタムは言う。今ではセルティックスの堂々たるエースだが、彼はもともとコービー・ブライアントを崇め称え、レイカーズを応援して育った。
「僕がどれだけレイカーズとコービーが大好きだったのかは知っているよね。僕はコービーと一緒にこのコートでプレーすることを夢見てきた。大好きな選手が足跡を残した場所でのプレーが実現した19歳の時の気持ちは、今でも忘れていないんだ」
44得点という数字もすごいが、完全に相手に行っている流れを引き戻すプレーには特別な価値がある。レイカーズが最高のパフォーマンスを見せている時に、抗い、押し返す見事なパフォーマンスだった。ボストンでの試合であればMVPコールが収まらなかっただろうが、コービーのジャージーの下でMVP級のプレーを見せることは、彼にとって大きな意味のあることだ。