比江島慎

文=鈴木健一郎 写真=鈴木栄一

フリオ・ラマスは比江島を信頼「ここが彼のチーム」

男子日本代表は11月30日にカタール、12月3日にカザフスタンと対戦するワールドカップのアジア予選Window5に向けて強化合宿を行っている。今日、その様子が報道陣に公開された。八村塁は24名の予備登録メンバーに入らず、渡邊雄太も合宿には参加していない。それでも9月のWindow4を欠場したニック・ファジーカスが復帰している。試合のたびに主力選手が入れ替わる状況だが、「選手がいてもいなくても、レベルを落とさず維持できるようにしたい」と指揮官フリオ・ラマスは語る。

もう一つ、ポイントとなるのが日本のエース、比江島慎だ。シーホース三河を退団してオーストラリアリーグに挑戦したが、ほとんど試合に出場できておらず、コンディションと試合勘が懸念されたが、公開されたわずかな時間でも動きに問題はなさそう。ラマスも「ここが彼のチームなので、全員が迎え入れてあげて、彼がプレーしやすい環境で、コンディションを整えられるチャンスだと取り組んでもらった。今日見る限りは良いコンディションにある」と信頼を寄せる。

比江島自身も「久々に代表の練習に参加しましたけど、初日から良い感じでやれています」と表情は明るい。海外へと飛び出して、試合に出られないかもしれないリスクはもともと織り込み済み。「練習では日本で味わうことができないマッチアップだったり、相手を抜いた時のヘルプディフェンスの高さだったりがある。そのプレッシャーの中でやっているので、落ち着いてやれると思います。ディフェンスの部分でもフィジカル的に強いので成長できたのかなと」と語る。

比江島は日本を離れる前に「どうなるか予想はつきませんが、どうなっても自分の力になる」と語っていた。オーストラリアで大活躍とはいかないにせよ、厳しい状況に自ら飛び込む経験が彼を成長させているに違いない。カタールとカザフスタンとの試合でそれを証明してもらいたい。

フリオ・ラマス

今回のホーム連戦で求められるのは2連勝

日本代表はこのところ4連勝と好調だが、まだ通算成績は4勝4敗でしかない。今回のホーム2連戦で勝ち越しを決め、最後のWindow6のアウェー2連戦を少しでも有利な状況で迎えたいところ。また渡邊雄太と八村塁がいないと勝てないチームでは、今後のアジアの戦いにおいては終始苦戦を強いられる。ファジーカスと比江島を筆頭に、タレントはいる。戦力の底上げはBリーグの時代になって目に見えて成果が出ているはずだ。富山での2試合、フリオ・ラマス率いるAKATSUKI FIVEがどのようなパフォーマンスを見せるのか、注目したい。