7人の選手が2桁得点、チームで33アシストを記録する『理想のオフェンス』
ルカ・ドンチッチは右の太ももに張りを訴えて欠場した。ジョシュ・グリーンもマキシ・クレーバーもケガで欠場となった。バック・トゥ・バックの2試合目、しかも前日はバックスと最後の最後までもつれる死闘を繰り広げたとあって、シカゴに移動する時点で戦意は削がれていたのかもしれない。それでもザック・ラビーンは言う。「対戦相手が万全じゃない時に僕らがやるべきことは、それに付け込んで勝つことだ。今日はそれができた」
しかも最善の方法で、である。前半終了時点で82-53と圧倒し、もともと削がれていたマブスの戦意を折った。後半は大量リードを保つ余裕の展開で、最も長くプレーしたデマー・デローザンでも出場32分と、消耗を避けて1勝を得た。
さらにブルズは今シーズン最多の144得点。これは指揮官ビリー・ドノバンがいつも理想として語っている「5人から7人の選手が2桁得点を挙げ、チームのアシストは25以上」を完璧に満たしている。デローザンが28得点、ニコラ・ブーチェビッチが20得点で、パトリック・ウィリアムズにデローザン、ベンチスタートの選手ではデリック・ジョーンズJr.にゴラン・ドラギッチ、アヨ・ドスンムと計7人が2桁得点を記録。チームのアシスト数は33だった。
ドノバンは言う。「ザックとブーチェ、デマーは自分勝手なプレーをせず、チームメートの良さを引き出す。ボールムーブやオープンな選手をどう見付けるか、相手のディフェンスがどう守って、それをどう利用するかを常に話している。決めるべきシュートをよく見極めているよ」
ラビーンもこの試合のオフェンスに十分すぎるほどの手応えを感じている。「ボールを上手くシェアできた。チームとしてプレーすることが、僕らの強みを発揮する秘訣だと思う。ボールシェアの精神は伝染するものだ。これが今後に続く良い流れのきっかけになるといいね」
ブルズはポイントガードのロンゾ・ボールが膝のケガが回復せずにいまだ出場できていない。これは大きな誤算だが、それを差し引いてもオフェンスを組み立てられず、良いチャンスを作れずにここまで11勝14敗と苦戦が続いている。今回も万全とはほど遠いマブスが相手だっただけに、一夜限りのオフェンス爆発で終わるかもしれないが、たとえ1試合だけでも選手たちが良いフィーリングを得られたのは一歩前進だ。
ラビーンが言うように「ボールシェアの精神は伝染する」のであれば、このマブス戦が変換点となるかもしれない。