ニックス

デリック・ローズ「プロであれば、当然チームのために準備をしておくもの」

NBAでは12月15日に、この夏に新しい契約を結んだほとんどの選手がトレードできるようになる。ここから2月9日のトレードデッドラインまでが、いわゆる『テコ入れの時期』だ。

どのチームも25試合程度を消化した現段階の成績に良し悪しはあれど、チームの現状をそのまま表すものではない。大きく負け越していても、再建中のチームにとってそれは問題ではない。だが、プレーオフ進出を目指すチームが勝率5割を切っており、この先も上向く見込みがないとなると、それは問題だ。

ニックスはそんなチームの筆頭だ。2シーズン前にプレーオフに進出し、若いチームは右肩上がりで成長を続けるかに見えたが、昨シーズンは37勝45敗でプレーイン・トーナメントにも進めなかった。今シーズンはフリーエージェントで獲得したジェイレン・ブランソンが期待通りの活躍をしているが、それでも11勝13敗と勝率5割に届いていない。

トレード要員の一番手はエバン・フォーニエだ。昨シーズン開幕前、ケンバ・ウォーカーとともに補強の目玉として加入したが、ケンバはシーズン半ばでローテーションから外れ、すでにチームを去った。フォーニエは主力として活躍したものの、今シーズンは結果を出せずにローテーションを外れている。こうなるとブランソン、ジュリアス・ランドルに続く年俸を取り、契約が来シーズンまで残るフォーニエは放出したい。夏のユーロバスケットでフランス代表の主力として活躍した彼も、居場所のないニックスに残りたくはないだろう。

デリック・ローズとキャメロン・レディッシュにもトレードの噂がある。12月4日のキャバリアーズ戦で、2人はローテーションから外れた。指揮官トム・シボドーが勝てないことに試行錯誤するのは当然だが、信頼が確かであれば外れたりはしない。

ローズはその後、シボドーから「マイルズ・マクブライドを起用してみたい」との説明を受けたことを明かした。「彼から聞いたのはそれだけで、今後どういう起用法になるのかは分からない。でも、彼と僕は何でも言い合える関係だ。それに僕は元気で、練習をこなしている」とローズは続けている。

シボドーは「私は常にチームを第一に考える。選手はもしローテーションに入っていなくても、常に準備を整えておくものだし、チームメートのために練習に協力するものだ。それがチームを第一に考えるということだ」と語っている。

ローズはこの考え方を理解して「プロであれば、当然チームのために準備をしておくものだ」と語る。「僕はただバスケをして幸せでいたいだけなんだ。もちろん、何かを勝ち取ることができれば素晴らしいけど、キャリア15年目でコートに立てていること自体が、僕にとっては優勝みたいなものさ」

しかし、ローズは紆余曲折のキャリアを経たベテランであり、シボドーとの間には強力な信頼関係がある。他の選手はここまで落ち着いてはいられないだろう。それはフォーニエやレディッシュに限らない。3年目のシックスマン、イマニュエル・クイックリーにもトレードの噂が出ている。フォーニエがローテーションから外れた後、ブランソンと組む先発ガードにはクイックリーではなくクエンティン・グライムズが据えられた。

グライムズがそうであるように、ニックスにはプレータイムを与えられれば結果を残せる選手が他にもいる。混雑したロスターを整理する意味でも、フォーニエのトレードをより良い形で成立させる意味でも、他のチームが欲しがるであろうクイックリーを放出する可能性はある。

過去9年でニックスがプレーオフに進出したのは2年前の一度きり。シボドーの1年目だったこの時も順風満帆だったわけではなく、開幕から1カ月半が経過した時点では11勝13敗だった。この時のニックスはその後を30勝18敗で乗り切っており、シーズン途中に獲得したローズの活躍が大きかった。その再現ができるかどうか、ニックスはどんな判断を下すのだろうか。