佐藤賢次

「コンディションが整わず、想定よりも時間がかかっている」と現状を語る

川崎ブレイブサンダースは11月30日の横浜ビー・コルセアーズ戦を98-60で快勝し、10月2日以来となるホームでの勝利を収めた。

リーグ戦では横浜BCに直近の2シーズンは負けなしで8連勝を記録していたが、10月末に行われた天皇杯3次ラウンドでは残り0.9秒で河村勇輝に決勝3ポイントシュートを決められて逆転負けを喫し、天皇杯3連覇の夢が断たれた。天皇杯では決勝3ポイントシュートだけでなく、試合を通じて18得点9アシスト6リバウンド4スティールと河村に上手くゲームコントロールさせてしまったこともあり、今回の対戦では河村が出場したほとんどの時間でゾーンディフェンスを敷いて、自由にゲームメークさせなかった。また、2-3ゾーンだけでなく、ゾーンプレスも仕掛けるなど徹底して横浜BCオフェンスを封じたことで、今シーズン最小失点の60点に抑えての勝利となった。

試合後、川崎の佐藤賢次ヘッドコーチは天皇杯の雪辱を果たすことができ「勝てたことは素直にうれしいです」としつつも、「ただ、今日は正直、ゾーンがハマったというところがあるので、本当にベースの部分のミスはまだまだ細かいところがあります。だから本当に成長しないといけないですし、一歩ずつやっていくしかない。今日みたいな試合を自信にして、必ず良くなっていくと思います」と続けた。

「ゾーンがハマった」というのは、川崎のスカウティングによる成果のため、佐藤ヘッドコーチは「リーグ戦ではこういう試合を研究されて対策されていくので、また乗り越えて成長するというのを繰り返して強くなっていければ」と気を引き締めた。

昨シーズンはレギュラーシーズンを42勝13敗で終えた川崎だったが、今シーズンは14試合を終えて8勝6敗となかなか勢いに乗り切れていないのが現状だ。もちろん、昨シーズンに平均12.9得点を挙げたシューターのマット・ジャニングが開幕戦で負傷(右大腿二頭筋肉離れ)し、いまだ戦線離脱していることも影響しているが、佐藤ヘッドコーチは開幕から苦戦している要因をこう語った。

「昨シーズンのスタイルとは違うタイプのマイケル・ヤングジュニア選手が加入しました。今シーズンはいろいろなところに起点を作って、誰かに任せて点を取るのではなく、全員が脅威になって相手にとって嫌なプレーができるように、というチャレンジをしています。ただ、それで上手くいかなくなると『今まではこうだったのに、ああだったのに』となってしまうので、そういうところで今は新しいものを生み出す前段階の苦しい時期だと思っています。もともと序盤は苦労するかなとは思っていましたが、マットもずっと出ていないですし、チームとしてコンディションが整わず、想定よりも時間がかかっているところです」

「ただ、今日の試合もそうですし、一つひとつ準備しながら今シーズンのメンバー12人で優勝するために必要なものが何なのかを選手同士が話して、こちらからも提案して、少しずつ作って来られている実感はあります。なので、このまましっかり続けていければと思います」

バイウィーク明けの名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦で負傷していたジョーダン・ヒースもこの横浜BC戦で復帰し、3ポイントシュート6本中3本成功を含む21得点13リバウンド1スティール2ブロックと好パフォーマンスを見せたのは、チームにとって大きな力となる。

天皇杯3連覇の道は途絶えたが、レギュラーシーズンはまだ3分の1も終わっていない。この苦しい時期を乗り越えた先に、川崎がどんなチームへと成長しているのか楽しみだ。