津山尚大

「勝負どころで僕、誓哉さん、ペリンでミスなくボールを運べれば違った展開に」

島根スサノオマジックは11月26日、敵地に乗り込み琉球ゴールデンキングスとの西地区首位決戦に臨んだがオーバータイムの末に86-96で敗れた。島根はビッグマンのリード・トラビスが右第三中手骨骨折でインジュアリーリスト入りしている中、後半開始早々にはニカ・ウィリアムスが相手選手を殴って一発退場とビッグマンの駒不足に陥ったが、試合終盤までリードを保っていた。最終的にはここ一番での不用意なターンオーバーが響いて敗れる悔いの残る結果となったが、それでも勝利まであと一歩に迫ったところに島根の地力の高さを示した一戦となった。

今シーズンの島根は安藤誓哉、ペリン・ビュフォードの2大エース、現役オーストラリア代表の主力、ニック・ケイなど昨シーズンと中心メンバーは変わっていない。唯一の変化はリーグ随一のシューターである金丸晃輔の三遠ネオフェニックスへの移籍だが、その穴をほとんど感じさせないオフェンスの破壊力を見せている。それは結果的に金丸と入れ違いで三遠から島根に加入した津山尚大の存在が大きい。

この試合でも津山は持ち前のコンタクトの強さを生かしたドライブからレイアップを沈めると、第4クォーターのオフィシャルタイムアウト前にはリードを13点へ広げる3ポイントシュートを決めるなど、34分27秒で10得点5リバウンドを記録した。

「試合の入りで僕のミスがあってチームの流れを悪くしたので修正したかったですし、前半18点リードの場面でもっと自分たちのバスケットボールをして点差を広げられなかったのは僕らの課題です。(ターンオーバーを喫した)最後の勝負どころで僕、誓哉さん、ペリンでミスなくボールを運べれば違った展開になったと思うので、そこを修正したいです」

このように試合を振り返った津山だが、ここまで全試合で30分以上出場と島根の主力選手に定着している点を聞くと次のように語った。「このチームはハードなディフェンスをして速い展開に持っていくバズソースタイルをやっていて、その部分でしっかりフィットできていると思います。コンボガードとしての役割を意識していますし、今日はボールを運ぶ部分で誓哉さんやペリンに負担をかけてしまったので修正したいです」

津山尚大

主力選手として初の地元凱旋「しっかり活躍することが沖縄の人たちへの恩返し」

福岡大学附属大濠でエースとして活躍し、高校時代から大きな注目を集めていた津山は、地元の琉球で高卒プロデビューを果たした。ファンからの絶大な支持を受ける人気選手だったが、Bリーグ2年目のシーズン終了後にさらなる飛躍を求めて琉球を去り海外挑戦を志した時期もあったが上手く行かなかった。その後、複数のチームを渡り歩く中で、主力の地位を得ることはなかったが、島根では状況が一変した。1番、2番ポジションの両方をこなせることで安藤、ビュフォードの2大エースのサポート役としての適正を発揮すると、島根の指向するアップテンポな走るバスケットボールとの相性も良く、ばっちりと新天地にハマっている。

昨シーズンまでキャリアを通して1試合平均で20分以上プレーしたシーズンはなく、平均得点も2018-19シーズンのライジングゼファーフクオカ時代の7.4得点が自己ベストだ。それが今シーズンは12試合を終えた段階とはいえ、平均33.4分出場で12.3得点、3.0アシスト、3ポイントシュート成功率41.5%とブレイクを果たしている。

琉球を離れて5年目となる今シーズン、遂に主力として地元凱旋を果たせたことへの思いを津山は語る。「ここまでのプレーに満足はしていないですが、僕がしっかり活躍することが沖縄の人たちへの恩返しです。その部分に関してできたところもあると思いますが、チームの結果は悔しいのでしっかり勝つ姿を沖縄の人たちに見せたいです」

冒頭でも触れたが、昨シーズンと今シーズンの島根の中心メンバーで変わったのは金丸が去って津山が入ったことのみ。昨シーズンの金丸は島根のスタイルにフィットしているとは言い難く、彼の持ち味を発揮できずにいた。ただ、レギュラーシーズンMVP受賞経験があり1試合平均15得点以上のシーズンを何度もマークしてきた金丸と津山では、これまでの実績に天と地の差がある。これからシーズンが進めば、どうしても金丸と対比される場面も増えてくるだろう。

「金丸さんはトップの選手で比べられるのは正直、プレッシャーもあります」と津山は語るが、同時にこの状況にやりがいも感じている。「周囲の予想を覆して見返してやりたい気持ちはあります。でも、そこまで意識せずチームの中で自分の良さを出せれば勝ちに貢献できる選手になる。今はそこだけに集中してやっています」

今日の第2戦、島根がリベンジを果たすためには津山のさらなるステップアップも必要になってくる。それができた時、彼の目指す沖縄への恩返しの実現は近づく。

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