激しいディフェンスとリバウンドで序盤から主導権をつかんだことが勝因

11月19日、Bリーグは中断明けの初戦が行われ広島ドラゴンフライズは敵地に乗り込んで千葉ジェッツと対戦した。ともに7勝2敗の地区首位同士の一戦は、持ち味のスピードあるオフェンスを炸裂させた広島が92-77で快勝している。

大量得点を奪っているが、広島の指揮官カイル・ミリングは堅守がもたらした勝利と強調した。「千葉Jはリーグベストのリバウンドのチームですが、その相手に対してアグレッシブにディフェンスし、リバウンドをしっかり取ってくれました。選手たちのプレーを誇りに思います」

ミリングヘッドコーチが語るように、広島は出だしから激しくプレッシャーをかけるディフェンスで千葉Jのボールムーブを停滞させ、アウトサイドのタフショットを打たせた。その結果、千葉Jを第1クォーターでフィールドゴールを16本中2本の成功に抑え込み18-5と先手を取った。

第2クォーターに入ると、千葉Jに高確率で3ポイントシュートを決められ、ファウルトラブルに陥ってフリースローで失点を重ねたことも響き、リードは5点まで減ってしまう。だが、広島は後半にディフェンスの強度を取り戻し、リバウンドをしっかり取り切ることでドウェイン・エバンスを筆頭としたビッグマンの機動力を生かした得意のトランジションを展開。第4クォーター突入前に19点の大量リードを奪って勝負を決めた。

新戦力エバンスの効果を実感「オフェンスで持ち味を発揮しやすいようになった」

この試合、広島の寺嶋良は持ち味の鋭いドライブで千葉Jディフェンスを切り崩すと、3ポイントシュートも5本中3本成功と外からも得点を量産。24分14秒の出場で20得点5アシストと見事なパフォーマンスを見せて勝利の立役者となった。

寺嶋は勝因をこう語る。「バイウィーク明け最初の試合で、出だしから強固なディフェンスでオフェンスに流れを持っていくことができました。後半、相手に流れを持っていかれそうな時に、しっかりチームでコミュニケーションを取って踏ん張れたと思います。本当に良い試合になりました」

広島は中断期間前の水曜ゲームで琉球ゴールデンキングスに80-73で勝利している。まだレギュラーシーズン前半戦とはいえ、リーグ屈指のチームからの連勝は大きな弾みになると寺嶋は考える。「この連勝は大きな意味を持っていると思います。バイウィーク前、勝っていてもこれが本当に僕たちの力なのか、それとも偶然なのか分からない状態でした。今日の勝ちで僕たちの力が本物なんだと自信がつくと思います。明日は千葉Jさんが改善してくるので今日みたいには上手く行かないですが、そこでコミュニケーションを取ってアジャストして勝っていきたいです」

見事なスタートダッシュとなった広島だが、昨シーズンとの大きな違いとして挙げられるのは、琉球から加入したエバンスの存在だ。「彼はリバウンドを取ってそのままプッシュできるので他の選手はしっかりコーナーまで走れます。それによって、ハーフコートからのオフェンスにスムーズに入れる良い形ができています」

このように寺嶋は、エバンスがもたらすプラス効果を語る。また、アシストセンスにも優れ攻撃の起点になれるエバンスがいることで、寺嶋自身も「オフェンスで持ち味を発揮しやすいようになりました」と、1対1で仕掛けやすくなる恩恵を受けていると続ける。

今回のリーグ中断はワールドカップ2023予選Window5を受けてだったが、これまでのWindowで3試合に出場した寺嶋は招集されなかった。「日本代表に選ばれたい気持ちは強いです」と引き続き代表への熱い思いを持っているが、今は広島で結果を出すことに集中している。「広島で自分ができることをやりきって判断していただければいい。まずはチームが勝つことに全集中していきたいです」

今日のようなパフォーマンスを続けて広島が勝利を積み重ねていけば、日本代表チームの指揮官トム・ホーバスも再び代表に招集せざるを得ない状況になっていくだろう。そのためにも明日、敵地で千葉Jを相手に価値ある連勝を達成することに今の寺嶋は集中している。