修正力の高さで前半リードで折り返す北海道
この第11節から交流戦が始まったBリーグ。16勝3敗で中地区首位に立つ川崎ブレイブサンダーズと5勝14敗で東地区5位のレバンガ北海道が対戦した。チーム一丸となって粘り強く我慢を重ね、何度も追いすがるもファジーカスのインサイドを止められず、北海道が川崎に87-78で敗れた。
序盤にペースを握ったのはホームの川崎。スクリーンを使った動きの中でインサイドにパスを供給し、ニック・ファジーカスとライアン・スパングラーが得点を重ねていく。素早いトランジションから辻直人、スパングラーが速攻を決めて16-7とリードを広げたところで、北海道はたまらずタイムアウトを要求した。
「一人ひとりが相手の脅威となることを目標に『ズレ』を作って打開していくところを、パスしたり、消極的になっていた」と語る北海道の水野宏太ヘッドコーチ。その部分をもう一度しっかりやろうと伝えられた選手はコートに戻ってそれを体現する。
このタイムアウトを機にディフェンスを修正した北海道は相手の速攻を許さず、ジャマール・ソープの内外のシュートで反撃を開始した。川崎のディフェンスに慣れ始めパスがよく回ってノーマークを作り、西川貴之が3ポイントシュート決めて21-19と2点のビハインドまで戻す。
第2クォーターに入ると高いレベルでの守り合いが始まる。両チームともスクリーンに対してスイッチで対応し、マークが外れても素早いヘルプディフェンスでノーマークを作らせない。実に約5分もの間、スコアは動かなかった。
それでも残り2分、5個目のチームファウルで得た2本のフリースローを桜井良太がしっかり決めて、北海道が逆転に成功。その後もズレを作り、松島良豪が3ポイントシュートを沈め38-37とリードして前半を終えた。
悔やまれる後半立ち上がり、以後は王者が『盤石』の試合運び
ところが、北海道の良い流れはハーフタイムで途切れてしまった。第3クォーターの頭に、篠山竜青の合わせのプレーと、スティールから自分で持ち込んで決めたバスケット・カウントですぐに逆転されてしまう。水野ヘッドコーチが「後半の出だしで速攻を許し、簡単に流れを渡してしまった」と悔いる時間帯だった。
多嶋朝飛が離されそうな時間帯に連続でアウトサイドシュートを決めて追いすがるも、一度渡した流れを変えられない。川崎のファジーカスを中心としたオフェンスを止められず、58-65とリードされて最終クォーターを迎えた。
ゾーンを併用することで川崎のインサイドプレーに対抗しようとするも止められずファウルがかさんでいった北海道。インサイドから高確率でシュートを決めていく川崎に対し、『ズレ』を作ってのアウトサイドシュートで対抗していたが、徐々に成功率が落ちていく。
ジリジリと開いた点差は、野本建吾に速攻を決められたことでついに2桁差に。しかし、ここからズルズルと後退するかと思いきや、今日の北海道は多嶋を中心に集中力を切らすことなく必死に食らいついていった。
残り1分11秒、多嶋が2本のフリースローを沈め76-83と逆転の目を残す。しかし、残り49秒のところでダニエル・ミラーがアンスポーツマンライクファウルを犯し、2本のフリースローとポゼッションを与えてしまい、思わぬ形で勝敗は決した。
勝利した川崎はファジーカスが33得点12リバウンド、スパングラーが10得点11リバウンドとインサイドを制圧した。またインサイドの攻撃によって29本のフリースローを獲得したことも勝因に挙げられる。
北海道は多嶋の21得点を含む4人が2桁得点を挙げ、バランスの良いオフェンスを展開したが、勝利には1歩届かなかった。
川崎の北卓也ヘッドコーチは今日のディフェンスについて「トランジション以外の、やろうとしたプランはやれている」と及第点をつけた。だが逆転された第2クォーターは「プレッシャーがソフトだった」、「控え選手のエナジーが足りなかった」と反省の言葉が多く聞かれた。もっとも、それでも勝ちきるところが首位を走る旧NBL王者の強さの証だろう。
同地区との対戦と違い、交流戦は2試合しか対戦が組まれないので両チームの対戦は本日12月3日が最後となる。改善点を修正し、熱戦に期待したい。
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