河村勇輝

「求められている役割を忠実に果たして、チームの勝利に貢献できるように」

河村勇輝がバスケ日本代表のフル代表に初選出されたのは、今年6月のことだ。日本バスケットボール協会が2022年度の男子日本代表チーム、第1次代表候補選手として招集したのは42名と大所帯だった。その中で、最年少での選出となった河村は、トレーニングキャンプで指揮官トム・ホーバスの信頼を勝ち取り、さらに試合を重ねることでその信頼を確固たるものへとしていった。

代表メンバーに定着していると言っても過言ではない状況だが、河村は「Window3、アジアカップ、Window4に引き続き、またWindow5でプレーできることに感謝して、僕に求められている役割を忠実に果たして、チームの勝利に貢献できるように頑張っていきたいです」と謙虚に代表活動に取り組んでいる。

今回のWindow5はアウェーでバーレーン(11月11日 日本時間25時5分)とカザフスタン(11月14日 日本時間23時)と対戦する。カザフスタンとはこれまで対戦経験があるが、バーレーンとはここ最近はほとんど当たったことがない。もちろん、これからチームでスカウティングを進めていくが、今回の直前合宿参加メンバーは夏の間、ホーバスの下で練習を重ねたメンバーが多く、少なからずこれまで積み上げてきたものがあることはポジティブな要素だ。

しかし、その中で比江島慎や西田優大がコンディション不良のため代表チームから離脱し、Window4に出場した馬場雄大もいないなど、スコアラー不足が否めない状況でもある。河村も「今回は主に点を取るスコアラーの選手がいない中で、一人ひとりがステップアップしないといけない戦いになると思います」と覚悟を語る。

河村の持ち味は激しいディフェンスにスピード、そしてずば抜けたアシスト力だ。しかし、8月にイラン代表と行った国際強化試合の際には、ホーバスからディフェンス面を評価されたが、オフェンスでは自分がシュートを打てるチャンスでも味方へのアシストを優先してしまい、「何でか分からないですが、彼は全然リングを見ていなくて、パッシングばっかりのポイントガードになっていました。それは良くないので注意しました」と積極的にシュートも狙うように注意された。

そんな夏を経験して迎えた今シーズンは、ここまで9試合に出場して平均15.6得点、11.0アシストのダブル・ダブルを記録し、得点とアシストの両面で存在感を発揮している。それだけに、河村も「僕自身、リーグ戦ではスコアリングを意識しています。この代表合宿はいつもと違ったメンバー編成になるので、僕もスコアリングしないといけない状況が増えてくると思う」と語る。

このようにチーム状況を理解している河村だが、状況が変わろうと彼の強みや指揮官から求められていることは今までと同じだ。河村は言う。「でも、この代表ではチーム全員で動きながらも、僕の役割はペイントアタックをして、周りのシューターやビッグマンを生かすことです。そこはブラさずにやっていきたいです。あとはオールコートでもハーフコートでも、アグレッシブなプレッシャーディフェンスは僕の強みなので、そこもブラさずに今回もやっていきたいです」

ブレない姿勢を見せる河村だが、もちろんスコアを意識しないわけではない。「自分からすごくスコアしにいくというよりは、自分のベストなタイミングだったり、シュートを打つタイミングが来たら思いっきりスコアリングしていきたい」と頼もしく語った。

スコアラーがいつもよりも少ないことは懸念材料ではある。それでも、リーグ戦で得点とアシストで結果を残している河村が自分の役割を果たしつつ、より攻撃的になることで、日本代表の新たな形が見えるかもしれない。弱冠21歳、最年少の河村は今回のWindow5でどんなプレーを見せてくれるか。