文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

「まだまだ、現役である以上はこれが通過点です」

日本人初の通算9000点まで、今節を前にあと『12』と迫っていたレバンガ北海道の折茂武彦。千葉ジェッツとの連戦、昨日の初戦では8得点を挙げており、今日の第2戦での記録達成が有力視されていた。

ベンチスタートの折茂がコートに入ったのは第1クォーター残り6分25秒。千葉のスピーディーかつ多彩な攻めに対応できず、1-11と圧倒された場面で出番がやって来た。折茂は美しいシュートフォームでミドルシュートを決めると、第1クォーター残り50秒のところでキャッチ&シュートでの3ポイントシュートを沈め、あっさりと9000得点を達成した。

すごいのは記録だけではない。試合開始から『全く歯が立たない』ほどの劣勢にあった北海道が、折茂の得点を機に立ち直り、第1クォーターを16-20で終えるまでに盛り返した。折茂は第1クォーターだけで7得点。試合を通じて28分強のプレーで12得点を挙げている。

ただし、その後は絶好調の千葉の勢いを止められず、62-84で敗戦。試合後、花束を受け取った折茂は「今日は勝てなくてすいません。不甲斐ない試合ばかりが続いてしまって、申し訳ない気持ちです」と、まずは平日開催ながらアリーナに駆け付けた2189名のファンに謝罪した。

「チームメートの助力がありながら9000点を達成できたことには感謝していますし、ファンの皆さんにも感謝しています」

「まだまだ、現役である以上はこれが通過点ですので、コートに立った時には点が取れるように頑張っていきたい」と言葉を続ける。46歳の『レジェンド』に、ここで歩みを止めるつもりは全くない。

「できる限り、得点を取り続けたい。応援してくれる限りは何とかコートに立てるようにやっていきたい」と挨拶を締めくくった折茂に、惜しみない拍手が送られた。

この試合で縦横無尽の活躍を見せた千葉の富樫勇樹は、「9000得点もすごいのですが、46歳であの動きをしているのが正直信じられないです。自分が生まれる前からプロでやっているので……信じられないです」と脱帽。富樫は23歳、折茂の現役生活は24年目だ。

個人の記録は達成した。次はチームの立て直しだ。5勝14敗と大きく負け越す北海道を立て直す。シューターとして、クラブ代表として、折茂武彦の戦いはまだまだ続く。