バックス

年齢層の高さが不安要素、若手の躍進が必要不可欠に

ディフェンディングチャンピオンとして臨んだ昨シーズンのバックスでしたが、ファイナルに進むことなく敗退しました。しかし、ヤニス・アデトクンボの顔に悲壮感はなく、クリス・ミドルトンを欠く中で、やるべき事はすべてやり切った末の敗戦でした。新シーズンは再びチャレンジャーとして優勝を目指すこととなります。

『モンスターの中のモンスター』ともいうべきアデトクンボの圧倒的な身体能力と、ドリュー・ホリデーの強烈なマンマークディフェンス、そしてミドルトンのシュート能力があればバックスは優勝候補の一角として戦う事ができますが、それぞれの武器が強力である故に真正面からぶつかっていく戦い方になっており、相手によって戦略を変更するような柔軟性に欠けているのが悩みでした。

今オフはジョー・イングルスを獲得したことで、状況に応じて柔軟な対応も可能になるかもしれません。身体能力は低くても、小さな工夫の積み重ねでマッチアップ相手を制し、高いシュート力と冷静な判断力でオフェンスを作れるイングルスは、ホリデーの控えとしても、ミドルトンの控えとしても起用できる便利な選手のため、イングルスの起用だけで試合展開を大きく動かすことができます。大きな動きがなかったものの、ピンポイントで必要な戦力を手に入れました。

しかし、イングルスは大ケガからの復帰となる上、年齢も35歳となります。他にもブルック・ロペスやウェスリー・マシューズなど、ロスターの半分以上が30代の選手が占めており、ケガ人が多かった昨シーズンの事を考えると、年齢層の高さが不安要素でもあります。27歳と全盛期を迎えるアデトクンボの事を考えると、チームに勢いをもたらせる若手の躍進は必要不可欠です。

その意味ではルーキーのマージョン・ボーチャンプには大きな期待がかかります。バックスとしては2018年のドンテ・ディヴィチェンゾ以来の1巡目指名選手となり、オフェンスでもディフェンスでも活躍できる能力を持ち、将来的にはアウトサイドの核となってほしい選手です。若手の突き上げが無ければ、現状維持に留まってしまう危険性もあるため、ルーキーとは言えボーチャンプには大きな役割が与えられそうです。

チームのベースは変わらないものの、大ベテランのイングルスが持つ知性と、エネルギッシュなボーチャンプがもたらす勢いは、目に見えない形でバックスの大きな力になるはずです。プレシーズンは全敗したものの、従来通りではないプレーを志したからこそ上手くいっていない面もあり、まずは新たな武器を融合させるのが新シーズンのキーポイントになりそうです。