ハイスコアゲームに活路見出す、メンバー争いも激化か

タイリース・ハリバートンを中心とした再建へと舵を切ったペイサーズは、ドラフト6位でベネディクト・マサリンを指名しました。「6位」というのは期待よりも低い指名順位でしたが、ペイサーズとしては1988年の2位でリック・スミッツを指名して以来の高順位となり、大きな期待がかかります。

ロスターにはガードが多く並び、マイルズ・ターナー、アイザイア・ジャクソン、ジェイレン・スミスなどビッグマンもスピードのある選手が多く、サイズやポジションにこだわることなくマッチアップするディフェンスと、展開の早いオフェンスが特徴です。トランジションの連続でハイスコアゲームを作るために、シューター系の選手も揃えていますが、シュート力で勝ち切るために必要なプレー精度は不足しているため、個人としてもチームとしても成長することがシーズンの目標になります。

ハリバートンとTJ・マッコネルの両ポイントガードは安定したゲームメークをしてくれるため、マサリンやクリス・ドゥアルテ、バディ・ヒールドらのウイング陣が効率良く得点に繋げていくことが重要です。いずれもシュート能力を特徴にしていますが、動き回るタイプの選手のため、チームとしてスペースをコントロールできなければポジションが被ってしまいます。実際にペイサーズの課題はオフボールでのポジショニングやスクリーンを使った連携が足りてない事で、スコアラーを並べ過ぎている印象もあります。

伝統的にディフェンス力のチームでしたが、近年のペイサーズはオフェンスを強化しようとしては失敗しており、昨シーズンからリック・カーライルをヘッドコーチにして立て直しに動きましたが、アップテンポなバスケで個人としての輝きはあっても、チームの中で役割分担が整っているとは言い難い状況が続いています。シンプルに言えば『エースが定まっていない』わけですが、マサリンやドゥアルテがエースの座に収まるのか、バランスアタックを志すのか、どっち付かずの状態にも見えます。

チームとしては荒さが目立つ戦いが続くことが予想されますが、スコアラー以外にもオシェイ・ブリセット、アーロン・ネスミス、テリー・テイラーなどポジションレスなハードワーカーも揃っており、誰が中心選手として台頭するのか、個人間の競争は非常に激しく、勝ち残った選手を中心にした戦術が構成されていくことになります。再建に入ったばかりのため、結果よりも内容にこだわったシーズンになりそうです。