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チーム方針に理解も『闘争本能』を抑えられず……

セブンティシクサーズのジョエル・エンビードは、実質デビューイヤーとなる今シーズン開幕から周囲の期待以上の活躍を見せている。だが、度重なる足の負傷でNBAデビューまで2年を要したため、シクサーズは今のところ出場時間を1試合24分程度に制限している。

本人もチームの方針に理解を示す一方、アスリートとしてコートに立ちたいという気持ちを抑えるのは難しい。11月23日にホームで行なわれたグリズリーズ戦で、出場時間を巡りエンビードが怒りを露にする場面が見られた。

第4クォーターでは決着がつかず、試合は86-86のまま延長戦に突入。オーバータイムでも一進一退の攻防が続き、91-91の同点のまま延長5分が終了し、セカンド・オーバータイムにまでもつれることに。この時までにプレー時間が27分を超えていたエンビードに対し、チームドクターは「ここまで」とベンチに戻るよう指示を出した。

だが、収まらないのはエンビード本人。出場の許可を求めて話し合いを続けた。しかし方針が変わらないことを聞くと、チームのために貢献できないことに怒り、ベンチを強く蹴り上げた。

大熱戦の末、グリズリーズに99-104で敗れた試合後、冷静さを取り戻したエンビードは、椅子を蹴ったシーンを「イライラしてしまって。でも、みんな僕のことを気遣ってくれているから」と反省した。

エンビードの行為は褒められるものではないが、再建段階にあるシクサーズが西の実力者グリズリーズを相手に接戦まで持ち込めたのは驚きだった。昨シーズン年間10勝(72敗)に終わったチームが、開幕から1カ月が経過した時点ですでに4勝(11敗)を挙げている。その要因の一つがエンビードといっても過言ではない。

グリズリーズ指揮官のデイビッド・フィッツデールもその実力を認め、この試合後には「リーグ全体が、今後エンビードへの対応を迫られるようになる。彼は特別な才能を持った選手だ」と話した。

シクサーズは最低でも年内までは今の出場時間制限を続ける方針。だが、それ以降は状態を見て徐々にプレータイムを伸ばしていくものと予想される。本人も「出場時間の制限がなくなる日が待ち遠しい」と語っており、『ドクターストップ』がなくなれば今以上に大暴れしてくれるはずだ。

NBAを代表するセンターのマーク・ガソルとマッチアップするエンビード。実質1年目とは思えない存在感で、シクサーズを牽引する。