キャメロン・ジョンソン

キャメロン・ジョンソンが先発に、ベンチからの得点に課題

サンズにトレードを要求したジェイ・クラウダーの去就はいまだ決まらない。今、クラウダーの獲得に最も近いと言われているのはバックスとヒートで、いずれも東カンファレンスの優勝候補であり、特にプレーオフの勝負どころでタフに戦い、相手のエースを抑えられる戦力として獲得を模索している。

バックスは2020-21シーズン優勝に貢献したPJ・タッカーを手放した後、その勝負強さを補完できる戦力を探している。ヒートはファイナル進出を果たした2019-20シーズンにクラウダーを擁しており、この時の彼はレブロン・ジェームズのマークを担当するなどプレーオフで存在感を発揮していたため、その価値は十分に理解している。

クラウダーはバックスとサンズで2年連続でNBAファイナルに進出している。主役を張るスキルはないにせよ、勝負どころで激しく戦うファイターは優勝争いには欠かせない存在で、クラウダーやタッカーの市場価値は高い。

サンズにとっても手放せない戦力だったはずだが、彼を引き留めることはできなかった。クラウダーがトレードを要求したのは、キャメロン・ジョンソンがパワーフォワードの先発になり、自分がベンチスタートに回ることに反発したからだと見られている。さらに最近のサンズはトラブル続き。クラウダーはプレーヤーとしての自分の価値に自信があるからこそ、賭けに出たのだろう。

困ったのはサンズだ。昨シーズンのセカンドユニットの得点を引っ張っていたジョンソンが先発に回る分、キャメロン・ペインやランドリー・シャメットはいるものの、ベンチからの得点は落ちる。デイミオン・リー、ジョシュ・オコーギー、ジョック・ランデールといった新戦力も少々頼りなく、その分はクラウダーを含むトレードで上手く補いたいところだ。

理想はジャズのジョーダン・クラークソン、ロケッツのエリック・ゴードン、ペイサーズのバディ・ヒールドだが、再建中のチームがクラウダーを獲得しても持て余すだけで、何らかの工夫がなければトレードは成立しない。キャバリアーズのキャリス・ルバートもトレード相手として名前が挙がっているが、ロスターのバランスを見るに、キャブズを納得させるのは簡単ではない。

クリス・ポールとデビン・ブッカーのバックコートはリーグ最強クラスで、ミケル・ブリッジズ、ジョンソン、ディアンドレ・エイトンのスターターは非常に強力だ。それでも激戦の西カンファレンスを勝ち抜くには万全とは言い難い。全30チームのGMによるシーズン前予想によればサンズは西の3位。ウォリアーズとクリッパーズの後塵を拝している。

クリス・ポールがトップレベルのパフォーマンスを発揮し続けられるうちが、サンズにとってはNBA優勝のチャンス。ポールは37歳にしていまだ健在だが、永遠に活躍し続けられるわけではない。レギュラーシーズン開幕まであと2週間、クラウダーのトレードをどうまとめるかが、サンズにとっては非常に重要となる。