キャバリアーズ

ロスターバランスが変わり、戦術構築に不安要素も

ドラフト2位のエバン・モブリーが万能な能力を開幕から発揮し、ダリウス・ガーランドがオールスターへと成長し、そしてビッグマンを並べたアンバランスな布陣が上手く機能したことで、昨シーズンのキャバリアーズは44勝38敗と飛躍を果たしました。若いチームが結果を残したのならば、継続路線で進むのがセオリーですが、この成功に留まることなくリスクを負ってでもドノバン・ミッチェルの獲得に動いたことで、プレーオフは「目標」ではなく「最低限のノルマ」になる新シーズンです。

ジャレット・アレンをゴール下の要とし、放出したラウリ・マルカネンとベンチから出てくるケビン・ラブがシュータービッグマンとしてバランスを取り、3人のビッグマンを並べたキャブズは分厚いインサイドカバーを活用したディフェンスでリーグ5位の失点に抑え込みました。また、サイズアップしたことでアイザック・オコロやラマー・スティーブンスがガード相手のエースキラーになったことも大きく、オフェンスのガーランドとのコンビもバランスの良い形でした。

ミッチェルが加わることで、リーグ25位だった得点は大きく増えることは間違いありませんが、ロスターバランスが変わったことで3ビッグを採用することは難しく、ガードのエースキラーのプレータイムも減ってしまいます。元々がアンバランスな構成だったことでガード寄りのウイングが多く、有望な選手はいるものの、スモールフォワードに誰を起用するのか、そして試合終盤に使っていたスモールラインナップが可能なのかなど、不安要素も多く出てきてしまいます。

それでもガーランドとミッチェル、そしてリッキー・ルビオが帰ってきたガード陣はゲームをコントロールしながらオフェンスを劇的に進化させてくれる可能性に満ちています。アジリティに優れオフボールでも動き回ってシューター的な動きもできるガーランドに対して、フィジカルの強さを生かした突破力に優れたミッチェルはタイプの異なるエースであり、そして点差と時間をコントロールするルビオの存在は落ち着きをもたらしてくれます。

特にジャズでもコンビを組んでいたミッチェルにとっては、ルビオとの別れからボールを持つ時間が増え、プレーメークと得点の両方を1人で担うようになり、パス能力が大きく向上しました。しかし、負担が大きすぎてディフェンス面での貢献度が下がった経緯もあるだけに、再びコンビを組むことでプレーそのものが大きく変わる可能性があります。

躍進を果たした戦術的要因が失われる可能性が高い一方で、戦力アップには間違いなく成功したオフになりました。新たなチームとして作り直す作業が発生しますが、プレーイン・トーナメントではスター選手の勝負強さに負けただけに、キャブズが次のレベルに進むためには、勝利に慣れたエースの加入は必要不可欠な補強でした。新シーズンで最も注目すべきチームとして躍進が期待されています。