セルティックス

昨シーズンは攻守ともに好感触も新シーズンに向けては不安要素あり

カイリー・アービング、ゴードン・ヘイワード、ケンバ・ウォーカーとスーパースターを連れてきても遠かったファイナルでしたが、ジェイソン・テイタムとジェイレン・ブラウンを本格的に核にした初年度に辿り着くことに成功しました。そして、セルティックスはその勢いのまま見事な補強を行ったオフになりました。

ファイナルへ進んだものの、層の薄さが目立っていましたが、主力を削ることなくマルコム・ブログドンとダニーロ・ガリナーリを獲得し、オフェンスの可能性が大きく広がりました。途中、ケビン・デュラントのトレードにも参加しているという噂もありましたが、上手くいっている現状を変えてまでギャンブルする必要はなかったと言えます。

ところが、イタリア代表に参加していたガリナーリが前十字靭帯断裂の大ケガを負ってしまうと、今度はヘッドコーチのイメイ・ユドカがチームの規律違反で1年間の出場停止処分を下され、一気に暗雲が漂ってきました。成績が伴わなければクビになるヘッドコーチが1年後に帰ってくるのも変な話ですが、暫定ヘッドコーチとなったジョー・マズーラはチームの成功を継続させる必要があります。

昨シーズンの成功の要因としては、選手間の連携や試合状況に応じた戦略よりも、個々のマッチアップで全員が奮闘する1on1の強さが挙げられます。特にディフェンス面は穴のない布陣で、マーカス・スマートが最優秀ディフェンス賞に選ばれただけでなく、ロバート・ウィリアムス3世もオールディフェンシブチームに選出されました。この2人とベテランのアル・ホーフォードのカバーリングがあるため、周囲の選手は自分のマークに集中できたとも言えます。

オフェンス面でもテイタムとブラウンの個人技が中心ながら、シーズン中のトレードで加わったデリック・ホワイトがポイントガードもやればシューター役にも変化し、個人個人の強みを繋ぎ合わせていく役割で機能しました。ただ、ホワイトが成功したのはセルティックスでは珍しいことで、昨シーズンの顔ぶれは前ヘッドコーチのブラッド・スティーブンスの下で育まれた共通意識のあるメンバーで構成されており、外から来る選手がハマりにくいのも悪い意味でのチームの特徴になっています。

ブログドンにはオフェンス面での連動性向上が期待されますが、変わったチームカルチャーがある上にユドカの出場停止もあって、計算通りに機能するのか不安も残ります。優勝へのラストピースになれるのか、それともチームの中に違和感を生じさせてしまうのか、ブログドン次第でチーム力は大きく変わっていきそうです。

ホークスやブルズ、そしてキャブズの台頭もあって東カンファレンスもプレーオフ争いが激しくなってきました。少しの躓きで順位も大きく変動しそうです。昨シーズンにファイナルへ進み、描いた通りの補強が進んだ一方で、既にいくつもの躓きが発生してしまいました。期待と不安が混じりあう新シーズンの開幕です。