大阪橋本

「レイアップに行く時もまだ恐怖心が抜けていないです」

大阪エヴェッサは10月1日、2日の開幕節、アウェー千葉ジェッツ戦で連敗を喫し、苦しいスタートとなった。しかし、橋本拓哉が公式戦のコートへ戻ってきたことは明るいニュースだった。

橋本は外角からのシュート力と切れ味鋭いドライブが魅力の選手。2019-20シーズンから平均2桁得点をマークする大阪の日本人エースで、東京オリンピックの日本代表候補や3×3日本代表候補にも選出された経験を持つ。

しかし、2020-21シーズン中盤に右足のアキレス腱断裂によりインジュアリーリストに登録され、復帰を目の前にした昨年11月に再び右アキレス腱を断裂し、2021-22シーズンを全休した。大阪はエースの不在が響き、21勝36敗と大きく負け越し、Bリーグ以降最低勝率で西地区8位に沈んだ。そんな大阪にとって橋本の復帰は、2シーズンぶりのチャンピオンシップ出場に向けた好材料となる。

今シーズンの開幕戦の相手が千葉Jと決まった時、橋本は「厳しい戦いになる」と感じたという。リーグ屈指の得点力を持ち、佐藤卓磨や原修太など強力なディフェンダーを擁するチャンピオンシップ常連の千葉Jは、復帰戦の相手として強大だ。それでも、第1戦の第1クォーター残り5分にコートへ送り出された橋本は、ワンドリブルをつき、右ウイングから3ポイントシュートをいきなり沈め、大阪を一時逆転に導く初得点を決めて見せた。橋本は「(復帰後で)プレータイムが制限されている中、マティアス(フィッシャー)ヘッドコーチから空いたら打つことを求められていたので、意識した結果だと思う」と、この瞬間を振り返る。

橋本が言うように、第1戦では15分弱、第2戦は9分ほどとプレータイムは制限されたが、両日ともにフィールドゴール試投数は5本とアグレッシブにプレーした。しかし、本人の満足度は低く「自分自身、コートに立つこととベンチにいることを繰り返すことに慣れておらず、プレーに入るのが難しいと感じました。得点に加えてディフェンスでも貢献していきたいですし、少ない出場時間の中でも結果を残せるようにしたい」と言う。

またヘッドコーチが代わり、新体制となった現在のチームについては「まだまだ共通認識が浸透していない部分もありますが、プレシーズンと比較すると徐々にプレーの完成度も高くなっています」と好印象だ。

あらためてポテンシャルの高さを感じさせたが、2度の大ケガによる恐怖感はぬぐえず、プレーに影響が出ていることを橋本は明かした。「怖さはあります。ディフェンスが特に怖くて、激しさがなくなってしまう部分が多々あって、レイアップに行く時もまだ恐怖心が抜けていないです」

チームとしては厳しいスタートになったが、橋本は1年半ぶりの復帰を噛み締めた。次節は昨シーズンの王者、宇都宮ブレックスをホームに迎える。強者との戦いの中で牙を研ぎ澄まし、100%のパフォーマンスを早く取り戻してほしい。