ネッツで再起を期すベン・シモンズ、新天地でのポジションはセンター?「センターでプレーするのが好きだし、全く問題はない」

ネッツで再起を期すベン・シモンズ、新天地でのポジションはセンター?「センターでプレーするのが好きだし、全く問題はない」

2022/09/30 12:15
ベン・シモンズ

ナッシュ「ジャンプシュートを打たなくても気にしない」

ベン・シモンズがセブンティシクサーズで『失格』の烙印を押されたのは、一昨シーズンのプレーオフでシュートを打つ積極性を失ってしまったことがきっかけだった。

彼はジャンプシュートを苦手としており、これまでNBAで実質4シーズンでプレーして3ポイントシュートは34本しか打っていない。2点シュートにしてもペイントエリア外からのジャンプシュートはほぼ打たず、得点はペイント内でもゴールに極めて近い、セミサークルの位置でのレイアップやダンクに限られる。つまり『入らない』のではなく『打たない』プレーヤーなのだ。

それでも彼がオールスター選手であるのは、シュートという明確な欠陥を抱える一方で、他の選手にはない魅力を備えてもいるからだ。強靭なフィジカルと優れたハンドリング能力、自らのアクションでディフェンスを切り崩し、そこで生まれたズレを生かすパスで他の選手のシュートチャンスをクリエイトできる。シクサーズでの扱いをシモンズが理不尽だと思うのは、自分の悪い点ばかりを感情的に批判されたからだろう。

個性的であるがゆえに環境にフィットできないと『失格』と見なされる。しかし、新天地のネッツでは違うようだ。ヘッドコーチのスティーブ・ナッシュは「ジャンプシュートを打たなくても気にしない」と明言した。

「普通じゃないから偉大な選手なんだ。彼がシュートを打ちたいならそれで良いけど、打たなきゃいけないわけじゃない。ベンは多彩だからこそ素晴らしい選手であり、だからウチに必要な戦力なんだ」

シモンズの起用法についてもナッシュは面白い持論を展開している。時間は限定されるがセンター起用を検討しているのだ。シクサーズでのシモンズはデビューから常にポイントガードとしてプレーしてきたが、ネッツにはカイリー・アービングがいて、2番手には実力者パティ・ミルズが控えている。ジョー・ハリスーにキャム・トーマス、セス・カリーとガード陣は充実している一方で、ビッグマンはニコラス・クラクストンだけで駒が足りない。

昨シーズンはベテランのブレイク・グリフィン、ラマーカス・オルドリッジ、ポール・ミルサップがいて、それでも台所事情が厳しい時にはスモールラインナップでエースのケビン・デュラントを起用せざるを得なかった。ベテラン勢が退団した今、センターはクラクストンのみ。ここにパワーフォワードのマーキーフ・モリスやロイス・オニールではなくシモンズを配置するのがナッシュのアイデアだ。

「コートに立つ唯一のビッグマンがベンであれば、彼がその役割を担うだろうね。でも、彼はプレーメーカーでありポイントガードでもある。ディフェンスでもリバウンドでもチームに貢献できる。トランジションでボールをプッシュすることもできる」とナッシュは言う。

これに対しシモンズも「僕はセンターでプレーするのが好きだし、全く問題はない」と前向きだ。「チームが必要とするどのポジションでもプレーするつもりだ。僕はもともと1番から5番までどの選手も守れるし、1番から5番のどのプレーもできる。チームを機能させるためには良い策だと思うよ」

近年のNBAでセンターは高さと強さが最優先ではなく、多彩なプレーが求められるようになった。シモンズは本職のセンターではなくてもクラクストンと変わらぬサイズの持ち主でもある。ただ、最も接触が多く、身体的負担の大きいポジションだけに、スター選手はセンターの『汚れ仕事』を嫌う傾向にある。昨シーズンに腰を痛めていたシモンズには少々厳しいかもしれないが、パワーフォワードで先発し、クラクストンが休む時間帯にスモールラインナップのセンターを務めるのであれば機能しそうだ。

この1年半でシモンズはバスケットボール選手の能力を批判され、プロフェッショナル意識を欠いた選手と見なされた。今シーズンは彼にとって、失ったものを取り戻す挑戦となる。

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