U18女子日本代表

文=丸山素行 写真=FIBA.com

高さの不利をフィジカルと敏捷性でカバー

アジア選手権に挑んでいるU18女子日本代表は、グループリーグを1位で突破。昨夜の準決勝でオーストラリアと対戦した。高さの不利をフィジカルと敏捷性でカバーし、折れないメンタルと試合中の対応力が光った日本が勝利した。

序盤は連続でシュートがエアボールになるなど、オーストラリアの高さに苦戦。それでも時にはトリプルチームでゴール下を守るなど、インサイドで起点を作らせないディフェンスで主導権を渡さない。第1クォーター終盤に梅木千夏、石牧葵、奥山理々嘉が3ポイントシュートを成功させ21-12と先行した。

第2クォーターに入っても日本のペースが続く。小村日夏理の3ポイントシュートや石原柚香のステフィン・カリーばりのロングスリーが決まるなどセカンドユニットも機能し、日本は最大で15点をリードした。だが5分が過ぎ、ゾーンディフェンスに変更したオーストラリアに反撃される。

日本はズレが作れなくなり、ミドルシュートも体格で勝るオーストラリアの網にかかり得点が止まる。オーストラリアはセンターを強調するパワープレーで得点を重ね、ヘルプにいけば外から射抜くバランスの良さを見せた。流れを失った日本はターンオーバーを連発。約6分間で5-19と失速し、38-39と逆転されて前半を終えた。

U18女子日本代表

終盤の勝負どころも強気な姿勢を崩さず乗り切る

第2クォーターでは高さに面食らったが、後半に入ると見事な対応力でゾーンディフェンスを攻略した日本が再び主導権を握る。

ポストにパスを入れディフェンスを収縮させてからの展開でシュートを打てるスペースを生み出す。さらには動きの遅いセンター側のコーナーまで展開することで、インサイドのスペースも作り出した。こうしてて奥山理々嘉、石原、今野紀花が3ポイントシュートを沈め逆転した日本はリズムを取り戻し、速攻を繰り出しリードを2桁に拡大。オーストラリアは再びディフェンスをマンツーマンに戻すも、日本の勢いは止まらなかった。

日本が17点をリードして最終クォーターを迎えたが、日本に試練が訪れる。強度の高いディフェンスで追い込むも、ショットクロックわずかなところでファウルを我慢できず嫌な空気が流れる。連続で失点し、開始2分で点差を1桁に戻され、奥山が4ファウルとなり、さらにチームファウルも5に達した。

崩れてもおかしくはない場面だったが、日本はディフェンスのアグレッシブさを損なわず、逆に飛び込みリバウンドなどでポゼッションを死守し得点に繋げるなど、強気な姿勢を崩さなかった。

U18女子日本代表

チーム一丸のプレーだけでなく、個で打開する力も

この日チームハイの21得点を挙げた東藤なな子のドライブや竹原レイラのポストプレーなど、オフェンスが停滞した時間帯に個で打開する力を見せた日本はこの窮地を乗り切った。ファウルトラブルの奥山も残り4分にコートに戻り、そこから2本の3ポイントシュートを沈めるなど、全員が最後まで積極性を失わずにプレーし、最終スコア90-77で勝利を収めた。

決勝の相手は69-51で韓国を下した中国。中国とはグループリーグ最終戦で対戦し、後半に53点を奪って逆転勝利を上げている。当然簡単な相手ではないが、今日のような強気なプレーで最高の色のメダルを手にしてほしい。

U18女子アジア選手権大会 U18女子日本代表メンバー12名
#4 石原柚香(PG / 愛知学泉大学1年)
#5 山下詩織(C / 白鷗大学1年)
#6 竹原レイラ(PF / 三菱電機コアラースズ)
#7 奥山理々嘉(SF / 八雲学園高校3年)
#8 坂本雅(PG / 桜花学園高校3年)
#9 今野紀花(SG / 聖和学園高校3年)
#10 小村日夏理(SG / 八雲学園高校3年)
#11 梅木千夏(SG / 聖カタリナ学園高校3年)
#12 石牧葵(SG / 浜松開誠館高校3年)
#13 東藤なな子(SF / 札幌山の手高校3年)
#14 マヤ・ソフィア・マッカーサー(C / ダナ・ヒルズ高校2年)
#15 池田沙紀(PG / 岐阜女子高校3年)