文=泉誠一 写真=B.LEAGUE

富山のエースを3ポイントシュート1本に抑え勝機を呼び込む

2013-2014シーズンのbjリーグMVPであり、昨シーズンは平均17.1点を挙げている富山グラウジーズの城宝匡史。そのエースと対峙したのは、昨シーズンはNBL熊本ヴォルターズでプレーし、それ以前もNBL(旧JBL含)のクラブを渡り歩いてきた高島一貴だ。

11月20日に行われた横浜ビー・コルセアーズvs富山の試合では、城宝とともにコートに出たり、ベンチに下がったりしながらマンマークを続けた。青木勇人ヘッドコーチは、「ディフェンスマンとしてプライドを持って自分の仕事を全うし、エースを抑えてくれる選手」と全幅の信頼とともに彼をコートに送り出す。

その期待に応えるように、高島は土日の2試合で城宝を17点に抑えた。bjリーグ屈指の日本人スコアラーに対し、「非常にアグレッシブにプレーする選手という印象があった。特にキャッチ&シュートを打たせたら恐い選手なので、そこを警戒してドリブルをつかせることを意識して守りました」と対策したことが功を奏し、勝利した11月19日は6点しか許していない。

翌日は延長戦の末に敗れた。第3クォーターまでは5点に抑えていたが、終盤そして延長の時間帯に押し込まれて11失点。「1on1で守ることはもちろんですが、スクリーンを使ってうまくカールしてパスをもらうプレーなどがすごく城宝選手には多いので、チームディフェンスとしてのルールが徹底できていなかった。競った試合では細かいミスが効いてしまう。そこが城宝選手に最後に気持ちよく打たせてしまったのかなと思います」と高島は敗因を挙げた。

しかし、3ポイントシュートを2日間を通して1本しか決められていないのは対策通りだった。

「ディフェンスには自信がある。富山戦を通して考えても、城宝選手を止めることができたという手応えもあります」と高島は言う。しかし、「勝負どころで決められてしまった部分では、相手の方が一枚上手だった」と城宝の恐さは認めており、この2人のマッチアップには今後も注目していきたい。

情報量の少ない旧bjリーグ勢との『2巡目』の対戦が始まる

富山以外にも、中地区では三遠ネオフェニックスと新潟アルビレックスBBが旧bjリーグのクラブ。それぞれと2試合を戦ったが、「実際に試合をする前は情報量が少ないので、選手の特徴が全く分からなかった。これまでの2試合を通してようやく把握し始めているところです」と高島は言う。今日11月23日は、1カ月前にホームで2連敗を喫した新潟と、今度はアウェー長岡で対戦する。

新潟に対しては、「(佐藤)公威選手に簡単に3ポイントシュートをやられたので、そこは抑えなければいけないポイントの一つ。また、旧NBL組のインサイドの2人(クリント・チャップマン、ダバンテ・ガードナー)がキーポイントになり、前回もその2人にやられて負けてしまった。そこは注意していきたい」と次戦のポイントを挙げた。

その2日後には、ホームの横浜国際プールに戻って三遠と対戦する。「ポイントガードの鈴木(達也)選手はアグレッシブにペイント内に突っ込みながら、周りに良いパスを供給していく。特にパスをさばいた後の田渡(修人)選手や鹿野(洵生)選手は非常にシュートがうまい選手なので、できるだけ3ポイントシュートを打たせず、彼らのリズムにさせないことが三遠に勝つ要因になる。また、新しくNBA選手(ジョシュ・チルドレス)が入ってくるので、それもまたどういうプレイヤーかは分からない。多分マッチアップすることになるかとは思いますが、極力やられないように頑張りたいです」。そう話す高島は、上位チームのエースとの対戦にあらためて気を引き締める。

6勝10敗の横浜だが、ホームで勝利したのは先日11月19日だけである。より多く得点を決めた方が勝つスポーツではあるが、しっかり守ることでリズムに乗ることだってできる。「まずはディフェンスから」と言う声も選手から聞かれる通り、勝利に向かうディフェンスもバスケットの醍醐味であり、見ていて楽しいものだ。高島一貴のディフェンスにも、是非注目してもらいたい。