クリッパーズ

写真=Getty Images

「このチームが成功を収めるには全員の力が必要」

今シーズンのクリッパーズは、本格的な再建を始めて1年目のチームで、プレーオフ争いとは無縁と見られている。それだけに、開幕から4勝3敗と勝ち越している現在の成績はポジティブな驚きだ。核になれる絶対的なスターはいないが、実力派のベテランと将来有望な若手が揃っており、選手間の絆の強さがチームの強さに繋がっている。

最近は、シーズン開幕前に選手だけのミニキャンプを実施し、ケミストリー構築に繋がる人間関係を育むチームも少なくない。クリッパーズも今夏、ベテランのルー・ウィリアムズとパトリック・べバリーが中心となって、チームメートをマイアミに招待した。

新人やヨーロッパ出身選手の中には参加できない選手もいたが、主力が一堂に会して日中は汗を流し、夕食もともに過ごすことで連帯感を強めた。べバリーは『LA Times』に「一緒に酒を飲んで、酔っ払えるような関係の方が、いろいろなことを学習しやすいんだ。俺たちは、みんなで楽しい時間を過ごしたかったんだよ」とコメントしている。

このミニキャンプの効果は、チーム間のコミュニケーションが重要と言われる守備に関するスタッツに表れている。クリッパーズの被フィールドゴール成功率はリーグ3位(42%)で、被3ポイントシュート成功率は同4位(32.3%)。100ポゼッションあたりの平均失点も同6位の105.5点に抑えられている。今シーズンのクリッパーズは、終盤に控え選手を起用する試合もあるが、主力から不満の声は一切出ていない。

ウィリアムズは「このチームにはエゴが強い選手がいない」と言う。「このチームが成功を収めるには全員の力が必要で、それをみんなが理解している。エゴやプライドは他所にやって、チームとしての改善に努めないといけない。誰かが正しいプレーができていなかったら、それをオープンに指摘する。言われた選手が根に持つわけでもなく、全員で受け止めて前に進む。これは非常に大きいことなんだ」

この1年で、クリス・ポール、ブレイク・グリフィン、ディアンドレ・ジョーダンの『ビッグ3』が次々と退団。クリッパーズは全く別のチームになった。まだ序盤戦だが、このまま主力に負傷者が出ず、今のやり方で結果を出し続けられたら、クリッパーズは『ダークホース』として、西カンファレンスのプレーオフ争いを盛り上げるようになるに違いない。