ビクター・ウェンバニャマ

「誰かに期待してもらうんじゃなく、僕が僕自身に期待する」

フランスでプレーする新鋭、ビクター・ウェンバニャマは、2023年のNBAドラフトでの全体1位指名が確実視されている。220cmの身長に、ウイングスパンは234cm。フランスリーグのアスヴェルで優勝に貢献した2021-22シーズンのハイライトでは、多少タイミングをズラされたり揺さぶられても、十分に余裕を持ってブロックショットを連発する姿が確認できる。フランスリーグでは2年連続でベストヤングプレーヤー賞を受賞。昨年のU19ワールドカップでも7試合で33ブロックを記録して大会ベスト5に選ばれた。

そのウェンバニャマは今夏にメトロポリタンズ92へと移籍。『RMC Sport』の取材に対し、この移籍は来たるべきNBA挑戦へのステップであることを明かしている。

「15年から20年ぐらいはフランスで暮らすことがないだろうから、この1年を楽しみ、素晴らしいシーズンにしたい。ユーロリーグに参加しないから試合は週に1回で、それ以上プレーするリスクを負う必要はないと判断した。その分の時間は個人練習やウエイトトレーニングに費やすつもりだ」

この時期から『1位指名は確実』と見られることは、18歳には過度なプレッシャーになりかねない。だがウェンバニャマは、あくまでクールにその重圧を受け流す。

「みんな僕に期待してくれているけど、それは僕のキャリアに影響を与えないと思っている。すべては自分次第であり、将来に自分が何を成し遂げたいかを意識して、自分のことだけに集中するつもりだよ。誰かに期待してもらうんじゃなく、僕が僕自身に期待するんだ」

昨シーズンはケガがあって最後までプレーできなかったが、オフにはアメリカでのリハビリも経験して完治しているとのこと。「最高のスタッフに囲まれてリハビリができ、今まで以上のコンディションで戻って来ることができた。テストマッチでも良いプレーができているし、新しいチームも居心地が良いよ」

ウェンバニャマは「今の僕の目標はドラフト全体1位指名であり、その可能性をきっちり固めることだ」と言い、NBAドラフトで自分の名前が最初に呼ばれることを何よりも重視している。

「別に2位でも3位でも20位でも、その後のキャリアが良ければいいのは分かっている。でも、僕には『自分が一番じゃなきゃいけない』というプライドがあるんだ」

トップレベルで充実したキャリアを築くには、ただ優等生なだけではいけない。野心とプライドを持ち、時に計算高い必要もある。サイズ面での素質はすでに十分。ウェンバニャマはNBA向きのスキルを身に着け、最高のコンディションを作り上げた上で、NBAドラフトを待つつもりだ。