ドレイモンド・グリーン

「どちらに何票入るか見てみよう。彼らが何者なのかを見てみよう」

NBAのサンズとWNBAのマーキュリーのオーナーであるロバート・サーバーは、人種差別的な発言、また従業員への不適切な発言、行為があったとして、リーグから1年間の活動停止処分と1000万ドル(約14億円)の罰金を科された。だが、黒人に対する侮辱的な言葉を何度も使い、女性への不適切な発言、従業員を怒鳴ったり罵る行為が報告書から明らかになったことで、この処分が甘すぎると考える者は多い。

NBAを代表するスター選手のレブロン・ジェームズは「我々のリーグは処分を誤った。説明はしないが、それぞれが読んで判断してもらいたい。このリーグでは許されないことだ」と、そしてサンズに所属するクリス・ポールは「他の多くの人たちと同じように、報告書を読んで恐怖と失望を感じた」とSNSに投稿している。

今、彼らが感じているのはサーバーへの嫌悪感よりも、リーグに対する不信感だ。NBAの選手たちはマイノリティの権利に非常に敏感で、プロバスケットボール選手としての地位や名声を利用して社会正義の実現を目指している。

思い出されるのは2013-14シーズン終盤、クリッパーズのオーナーだったドナルド・スターリングが人種差別発言を理由にNBAからの追放処分を受けたケースだ。スターリングは結果的にNBAから追放されたが、リーグの動きは遅かった。選手たちが批判の声を上げ、名前を出されたマジック・ジョンソンが抗議し、時の大統領バラク・オバマも「決して許されない」とのコメントを出し、そしてスターリング自身が的外れな釈明をする大騒動の中、スポンサーに撤退の動きが出て、プレーオフの真っただ中で選手がボイコットをチラつかせるに至って、リーグはスターリングの追放を決めた。

この処分の差はどこにあるのだろうか。選手たちはスターリングの追放処分が『そうせざるを得ない状況に追い込まれたから』決まったもので、シーズンオフでビジネス的なダメージの少ない今回は処分が甘くなったのではないかと疑っている。今も各クラブのオーナーやリーグの重役はほとんど白人であり、これ以上こじれてしまえば選手たちとの信頼関係は崩れかねない。NBAコミッショナーのアダム・シルバーは「適正な手続きを経て処分を下した」と説明するが、誰もそれに納得していないから事は収まらない。

そんな中、ウォリアーズのドレイモンド・グリーンが自身のポッドキャスト番組で「1年間の活動停止と罰金について、僕は『オーナーだったら何をやってもクビにはならないんだな』と解釈した。そうじゃない誰かがやったんだとしたら、それがサーバーの半分のことでも1000%クビになる」と発言した。

そして彼は理事会にこう要求した。「サーバーを追放できない理由が分からない。理事会で投票して、どちらに何票入るか見てみよう。彼らが何者なのかを見てみよう」

NBA理事会のルールでは、誰かを追放するには75%の賛成が必要となる。「彼らが何者なのかを見てみよう」というグリーンの言葉は、このリーグを牛耳る者たちのモラルを問い、その結果を公表すべきという意味だ。もし本当に理事会で投票が行われ、サーバーのリーグ追放が否決されれば、今度こそ選手たちは黙ってはいない。