文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

『キャリアハイの活躍』と『スタッツに表れない貢献』の両輪

前日に引き続き、千葉ジェッツがホームの船橋アリーナに秋田ノーザンハピネッツを迎えた。

立ち上がりから千葉が主導権を握る。先制したのは千葉。ドライブで切り込んだ石井講祐のレイアップで先制すると、次はパスで崩してフリーになった石井の3ポイントシュートが決まる。その後も自在のパスワークで秋田を翻弄し、石井が2本目の3ポイントシュートを決めたところで12-4。秋田はタイムアウトを取らざるを得なかった。

前日の試合では小野龍猛がゲームハイの18得点を記録。大野篤史ヘッドコーチは秋田が対策してくると見て、インサイドの小野が厳しくマークされればシューターにチャンスが回ってくると見ていた。

「富樫も石井も小野もシュートがありますが、上だけでボールが回っていたのではゾーンは攻略できない。一度ヒルトン(アームストロング)に入れてボールラインを下げることで、シューター陣が空いてくる」という大野ヘッドコーチの狙いが当たり、石井がオフェンスのキーマンとなった。

第1クォーターだけで11得点を挙げた石井は「ガードの選手がよく見てくれていました。特別に何か違うわけではないのですが、チームでリズムを作ってパスを回して、ノーマークを作れたのが良かったです」と振り返る。その後もタッチ良くシュートを沈め、キャリアハイの26得点を記録。3ポイントシュートは8本中6本成功という高確率だった。

派手な活躍を見せたのが石井なら、反対に地味ながら効果的な働きを見せたのがアームストロングだ。10得点6リバウンドと、スタッツは『そこそこ』でしかないが、立ち上がりからスコット・モリソンのマッチアップに完勝して秋田にリズムを作らせず、攻撃面ではポストアップからインサイドでの強力な起点となった。

第2クォーターに入り、ポイントガードが富樫勇樹から阿部友和へと代わっても、個人に依存せずチームで崩す千葉のオフェンスはハイペースを維持。タイラー・ストーンとアームストロングが立て続けにダンクを見舞うなど自由自在に攻め続ける。

流れが変わったのは残り5分25秒の時点で激しく守っていた千葉のチームファウルが5に到達した後。強く当たりに行けなくなったことで秋田が息を吹き返し、田口成浩の3ポイントシュートなど9-0のラン。41-35と6点差で前半を終える。

アームストロングのファウルアウトから終盤は予想外の展開に

後半の立ち上がり、再び千葉が走る。アームストロングがゴール下をガッチリと固め、素早いパスワークからフリーを作り出して高確率でシュートを決める、という第1クォーターと同じバスケットを展開。後半最初の5分で9-0のランで、秋田を突き放す。

だが、ここでアームストロングが3つ目の個人ファウルを犯しベンチへ。すると秋田のインサイドが機能し始め、そこから白濱僚祐や安藤誓哉をフリーにしてしまい失点が続く。だが、千葉は苦しい時間帯に富樫が3ポイントシュート2本を含む8得点を決めてチームを支え、60-49と2桁のリードを保ったまま第3クォーターを終える。

終盤に向けてうまく試合をコントロールしていた千葉だが、第4クォーター残り4分12秒にアームストロングがついにファウルアウト。あきらめない秋田がこれで勢いづく。残り1分30秒で千葉の10点リードから、秋田は田口の3ポイントシュートとディショーン・スティーブンスのバスケット・カウントの3点プレーで74-70と4点差にまで詰め寄る。しかし残り1分、素早くパスを回して田口が狙った3ポイントシュートを石井がブロック。「狙ってくると思っていた。かわされて2点を取られてもいいので、3ポイントシュートは防ごうと飛び込んだ。届いて良かったです」と石井が試合後に振り返った、値千金のブロックショットだった。

その後、スティーブンスの得点で74-72と2点差に詰め寄られるが、この時点で残りわずか10秒。ファウルゲームに持ち込まれるも、富樫がフリースロー2本を確実に沈めて決着。最終スコア76-72で千葉が勝利した。

千葉はケガ人続出に苦しみながらも、これで4連勝。チームは確実に向上しつつある。水曜に迎えるアウェーの栃木戦が、現在のチーム力を知る良い機会になるだろう。

秋田は連敗。長谷川誠ヘッドコーチは「20点差でもおかしくない展開。追いかけたエネルギーを序盤に使わなければいけない」と憮然とした表情で語る。この2試合の収穫を挙げるとすれば、白濱の活躍だろう。土曜に18、今日は13と急速に得点数を伸ばす白濱に、長谷川ヘッドコーチは「人生で一番練習している」と、その努力を認めつつ、さらなる成長にも期待している。

秋田としては次からのホーム3連戦で立て直したいところ。「旧bjのチームは中2日での経験がない。まずは選手の体調面を見て、しっかり整えないといけない」と長谷川ヘッドコーチは次を見据えた。

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