岸本隆一

今回は本当に、自分のリズムであればどんどん打っていこうと思っています」

バスケットボール男子日本代表は、8月末に行われるワールドカップ予選Window4に向け、16名で強化合宿を行っている。その中でWindow1以来となる代表復帰を果たしたのが岸本隆一だ。昨年11月以来、久しぶりの代表活動となる岸本だが、「以前、代表に選出してもらった時はどういったバスケをするのかと手探りで難しい部分はありました」と振り返る前回と違い、今回は何をするべきかよりイメージができている。

「アジアカップの試合を見て、何よりも選手がすごく楽しそうにプレーしている印象を受けました。自分の持ち味はやっぱり3ポイントシュートだと思っているので、それをしっかり表現できるようにやっていけたらいいかなと思います」

岸本の最大の特徴は、3ポイントシュートラインの数メートル後方から沈めることができるロングスリーだ。オフェンスにおいて3ポイントシュートを最も重視する指揮官トム・ホーバスが、岸本を招集するのもこの特別な武器を評価しているからに違いない。そして「前回はいつもだったら狙っている場面で狙わなかったり、シュートセレクションのところで少なからず迷いはありました」と反省があるからこそ、今回はより積極的に長距離砲を狙っていくと語った。

「今回は本当に、自分のリズムであればどんどん打っていこうと思っています。アジアカップを見てもそれぞれが自分のリズムでシュートを打つことによって、チームに良い影響をもたらしていました。練習の段階から迷いを取っていって、試合に臨めたらいいなと思っています」

ただ、3ポイントシュートに意識が行き過ぎるとチームオフェンスのリズムを崩してしまうこともある。もちろん岸本はそれを理解している。「3ポイントシュートに固執しすぎることなく、試合の状況をしっかり把握して、アジャストしていくこともすごく大切です。そこで少しでもチームの力になれたら」

若手の台頭もあり、代表のメンバー争いはより熾烈なものとなっている。「岸本もWindow1で良い仕事をしたからチャンスを与えました」とホーバスは選出した理由を明かすが、一方でここまでの起用のされ方を見れば、彼の序列は決して上位ではないことが予想される。その中で下克上を達成するには、やはり限られた出場時間の中でいかに3ポイントシュートを決めることができるかが肝となる。

今週末に行われるイランとの強化試合の先にはWindow4があり、8月30日は沖縄でのカザフスタン戦が控える。地元出身選手として琉球ゴールデンキングスの象徴であり続ける岸本が、日本代表として沖縄アリーナのコートに立つ姿を沖縄の多くの人々が熱望している。その期待の大きさは本人も十二分に分かっているだろう。ただ、その中でも「特別なことをするつもりもなく、本当に普段通りの自分の力を発揮した上で少しでもチームに貢献できたらと思っています」と語るように、いつものプレーを貫くことに集中してほしい。それができれば、一発逆転も十分に起こり得る。