「ヤニスに対する回答を見付けるまで、ブルズは中位に位置するチーム」
昨シーズンのブルズはデマー・デローザンとロンゾ・ボール、アレックス・カルーソの補強が功を奏し、開幕4連勝とスタートダッシュに成功、年末年始にも9連勝を記録するなど東カンファレンスの強豪としての姿を取り戻したかに見えた。
しかし、疲労が蓄積するシーズン終盤にペースを落とし、ラスト1カ月半は7勝15敗。46勝36敗で5年ぶりのプレーオフ進出を決めたものの、最後に6位へと順位を落としたことでファーストラウンドで前年王者のバックスと当たることに。チームの調子自体が落ちていたことに加えてロンゾが膝を痛めて戦線離脱、ザック・ラビーンが健康安全プロトコル、カルーソを脳震盪プロトコルで欠いたのでは勝ち目はなかった。第2戦はデローザンが41得点を記録して勝ったものの、その後は完敗続きで1勝4敗でシーズンを終えている。
新シーズンに向けては選手層に厚みを加えるだけでなく、シーズンを通してコンディションをどう管理するかが問われる。昨シーズンの主力をキープしつつ、ベテランのゴラン・ドラギッチとアンドレ・ドラモンドを獲得。ある程度の結果を出したチームをさらに成長させ、プレーオフで上位進出を目指すことになる。
だが、マイケル・ジョーダンとともにブルズ黄金期を築いたレジェンドのスコッティ・ピッペンは、極めて現実的に今のチームを見ている。『NBA SPORTS』の取材に応じた彼は「レギュラーシーズンを通して、ブルズはすごく良くなったと思う。特にデローザンはオフェンス面でチームが抱えていた課題を解決してくれた」と評価しつつも、プレーオフで結果を出せなかったことに「ポストシーズンに向けて作られたチームじゃない」と指摘する。
「僕とマイケル(ジョーダン)は東カンファレンスを支配していた。でも、今はバックスが東カンファレンスを支配している。今のNBAで最も支配的な選手であるヤニス・アデトクンボに対する回答を見付けるまで、ブルズは中位に位置するチームでいなければならない。ブルズにとっての問題は、ヤニスが東カンファレンスでプレーしていることだ。ブルズにとっては回避しなければいけない相手だよ」
ピッペンが言いたいのは、グッドチームと偉大なチームの差だ。ブルズにもデローザンにラビーンとゲームを支配できる選手はいるが、アデトクンボのインパクトにはかなわない。
昨シーズンも終盤の失速がなければ、ファーストラウンドでバックスと当たることは避けられた。今シーズンのプレーオフで上位進出を目指すなら、東カンファレンスの4位以内に食い込む必要がある。最終的にカンファレンス王者、ファイナル進出を果たすにはアデトクンボを乗り越えることが求められるが、その差を埋めるにはどうしたらいいか、との問いにピッペンは笑いながら「ケビン・デュラントだろうね」と答えている。