白木享

琉球ゴールデンキングスは7月1日から経営体制を変更した。チーム創設時から社長を務めてきた木村達郎氏が退任し、沖縄を代表するIT企業のプロトソリューションが球団株式を取得し資本参加。それに伴い、同社の代表取締役社長である白木享氏が琉球の新社長に就任したのだ。琉球はリーグ随一の熱狂的ファンベースに収容人数8,000人を超える沖縄アリーナを本拠地とする『稼ぐ力』、昨シーズンにチーム初のファイナル進出を果たした『競技力』の二つを高いレベルで両立させている。今回の体制変更でどのように進化していくか。白木社長に球団の目指すべき姿、将来像について聞いた。

「今までの良い部分を補完する形で、新たなスタッフを追加していく」

――株式会社プロトソリューションが琉球に資本参加することになった経緯を教えてください。

まず、キングスをより成長させてくれる会社を木村さんが探していて、バトンタッチをするならば沖縄県内の企業がいいと言うことでお話しをいただいたのが始まりでした。そして資本参加を決めたのは、沖縄に根差した我々が、これまでキングスが作ってきた歴史をしっかりと継承することで、球団の活動理念である『沖縄をもっと元気に!』をより実現できるのではないかと判断したことが一番の要因です。

――これまで琉球を外からどのような印象で見ていましたか。

プロスポーツ不毛の地と言われていた沖縄において、一つの象徴となったプロスポーツチームということですごくリスペクトしていました。人気があるという部分だけでなく、経営面でもこれだけ成功している点にも敬意を持っていました。

――白木社長とスポーツの関わりを教えてください。

FC琉球(サッカー)の社外取締役を約2カ月前に退任するまで、9年くらい務めていました。プロスポーツチームの運営をどのようにやるのか、サッカーを通じて見てきた感じです。また、個人としては野球をずっとやっていました。野球、サッカー、バスケはもちろんのこと、とにかくスポーツ全般を見るのが好きで、最近まで開催されていた世界陸上も視聴していました。

――プロトソリューションが資本参加することで、琉球にどのような効果をもたらすことができると考えていますか。

コロナ禍も影響していると思いますが、これまで(琉球の運営会社である)沖縄バスケットボール株式会社はコンパクトな組織でいろいろな困難を乗り越えてきました。スタッフの皆さん一人ひとりを見るとものすごくポテンシャルが高く、能力のあるメンバーがビジネスチームに揃っています。その良い部分を補完する形で、プロトソリューションのスタッフを追加していく。それによって、例えばITの商材を作ったり、販促につながるWEB等の強化をやっていきたいです。

そして、何よりも私が重要視しているのは、ホームゲームに来られたお客様にまた試合を見に行きたいと感じてもらえる環境作りです。この点についてはまだまだやれることがたくさんあると思っています。この部分のオペレーションについて、プロトソリューションの持っているモノを生かしたシナジー効果を出していけるようにと考えています。それ以外にも広告関連、スポンサー担当などの人数を増やし、今まで以上に「沖縄が好きだ」、「キングスが好きだ」という企業さんにアプローチしていきたいです。そのために人材の強化を図っています。

琉球ゴールデンキングス

「シーズンシートを持っていることを誇りに思えるようにしていきたい」

――これから特にビジネス面で力を入れていきたいのはどんな部分となりますか。

まず、2026年からスタートする新B1には絶対に入らないといけない。そして、新しい舞台で戦っていくには今よりも経済力をつける必要があります。そのためにもまずは観客動員を増やすことが大切です。これまではコロナ禍もあって平均4,000人から5,000人でしたが、ホームの沖縄アリーナは8,500人くらいまでお客様が入れます。まずは沖縄アリーナを満員にすることが、私とビジネスチームに課されたミッションだと思っています。

──観客動員数を増やすための一番の肝はどこにあると見ていますか。

シーズンシートをより多くの人に買っていただくことです。ただ、この点に関してはここまで上手くいっていると思っています。現時点においても何十万円もかけてシーズンシートを買ってくださる方々が本当に多くいます。この席が良い、スイートルームが欲しいという依頼に対し、すでに埋まっていてお断りをさせていただくケースもあります。我々としてはより一層、ホームゲームの価値を高めることでお客様がシーズンシートを持っていることを誇りに思えるようにしていきたいです。

まずはシーズンシートで、アリーナの半分を埋めることを目標にしていきたいです。それによって、観客動員のしっかりした土台を作り、ファンクラブ会員さんへのサービスをしっかりやることで1年に1回だけでなく、何度か来てくださる人たちを増やしていく。そうすることで沖縄アリーナを毎試合、満員とすることは十分に可能だと見ています。また、我々はホームゲームでキッズエリアを設置したり、車椅子の方、身障者の方がしっかり見ることができる場所も用意しています。誰もが観戦を楽しめるアリーナとすることも引き続き大切にしていきます。