ベン・シモンズ

「彼が得意なことをやれば良い」

ベン・シモンズはセブンティシクサーズに在籍していた2020-21シーズンのプレーオフで深刻なシュートスランプに苦しんだ。ウィザーズとのファーストラウンドでフリースロー成功率34.2%、ホークスとのカンファレンスセミファイナルでも32.7%に終わり、成功率の低い選手が的になる『ハック戦術』の餌食になった。その結果、ホークスとの『GAME7』では、シュートに行くべき場面でパスを選択するなど、逃げのプレーが目立ってしまった。そして、そのパフォーマンスを批判されたことで球団に不信感を持ち、彼はシクサーズにトレードを要求し、昨シーズン途中にジェームズ・ハーデンとの大型トレードでネッツへ移籍した。

移籍後は腰の負傷に悩まされ、結局一度もコートに立てないまま昨シーズンを終えたが、フィジカル負けしない体躯を備え、力強いドライブから得点やアシストを量産できるポイントガードであることに変わりはない。また、211cmのサイズながら1番から5番まで守ることができるディフェンス能力の高さも際立っている。そして、オールスターに3度選出されているように、人気と実力を兼ね備えているシモンズだが、課題のシュートだけは改善が見られない。

しかし、シクサーズでも一緒にプレーしていたネッツのセス・カリーは「彼にジャンプシュートは必要ない。ディフェンス、リバウンド、ボールプッシュや仲間のためのプレー、リムへのアタックなど、彼が最も得意なことをやればいい」と『The Australian』の取材で語った。

「彼のようなサイズと才能がある選手のリムアタックを止めるには、1人ではなく、2人や3人がかりで止めなければならない。それだけで、すでに大きな意味がある。それに彼は何度もオールスターに選出された選手だ。彼が高確率でフリースローを決められるようになれば、再び誰にも止められない選手になるはずさ」

もちろん、チームとしてはシモンズのシュート力向上は大歓迎だが、セスが言うように彼は他の部分でチームに貢献できる選手だ。2シーズンぶりにコートに立つシモンズが、ネッツでどのようなプレーを見せるか。今から開幕が楽しみだ。