「今までのキャリアであそこまでシュートを打つことも、入ったこともなかったです」
アジアカップ2022、日本代表はシリア代表を117-56と圧倒した。大きな勝因となったのは52本中27本成功の3ポイントシュートで、中でも須田侑太郎は第2クォーターだけで8本中7本成功、最終的には12本中9本成功の33得点と傑出したパフォーマンスだった。
「相手どうこうではなく自分たちがやろうとしているバスケットがしっかり体現できたのが収穫でした。限られた時間で1秒も無駄にできない中、誰が出てもチームでやってきたことを遂行できたのはすごく良かったです」
こう試合を振り返った須田は、自身の3ポイントシュートについて「今までのキャリアであそこまでシュートを打つことも入ったこともなかったです」と明かし、チャンスで迷いなく打てたことが大きかったと続ける。
近年、Bリーグで3ポイントシュートの成功率を高めていることが、トム・ホーバス体制になってからの代表招集へと繋がった須田だが、元々はフィジカルの強さを生かしたディフェンスでプレータイムを増やし評価を高めてきた選手だ。そういう道のりもあってか、代表活動に参加した当初は今のように思い切りよくシュートを打ててはいなかった。だが、指揮官ホーバスの言葉が、その迷いを消してくれた。
「自信を持って自分の役割を認識してシュートを打てているのが大きいです。代表合宿の当初は、少し躊躇していた部分がありました。トムヘッドコーチと話す機会があって『須田の役割は3ポイントシュートだ』と明確に言ってもらえたことで、次の日からより自信を持って打てるようになりました。」
ホーバスの須田への信頼はずっと変わらない。それは初戦のシリア戦で、須田がオープンのシュートを外し続けた中、試合後にわざわざ「須田は本当に素晴らしいシューターです」と言及したことが示している。その指揮官の信頼に遂に応えられたことは、これからに向けて大きな弾みとなる。「特別、何かを考えたり練習したりするのではなく、自分らしくプレーすることを心がけてきたことが繋がりました。何かきっかけが欲しかった部分があり、この試合がそれになります。これからより自信を持って臨めます」
次戦の相手は、グループリーグ1位をかけたイラン代表との正念場となる。須田はこれまでと同じく自分たちのバスケットボールにフォーカスすることが重要と見ている。「イランは手強いですが、相手どうこうより自分たちが積み上げていきたものを発揮できれば、自ずと結果がついてくると思います。チームの雰囲気は良いですし、ああやって1つのプレーに対して盛り上がれるのは、良いチームになっている証拠だと思います」
いつもと変わらず迷いなくプレーする姿勢を貫くことで、イラン戦でも須田の長距離砲に大きな期待を寄せたい。