レブロン&レイカーズを迎え撃ったデイミアン・リラードの『デイム・タイム』

2018/10/20
NBA&海外
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デイミアン・リラード

文=神高尚 写真=Getty Images

序盤はレブロン・レイカーズの力強さが目立つ展開に

レブロン・ジェームスの加入により今シーズン最大の注目チームになったレイカーズ。迎えた開幕戦はアウェーでありながら、会場にはレイカーズの、あるいはキャブスのユニフォームをまとったファンが多く足を運んでいました。ブレイザーズへの応援の熱さで知られるポートランドがここまでレイカーズに声援を送るとは想像もつきませんでした。

大注目の一戦は新生レイカーズが新たな『レイクショー』を魅せる立ち上がりに。オフェンスへの切り替えが早く、次々にトランジションオフェンスを仕掛け、そしてレブロンが豪快なダンクを決めると会場は大歓声に包まれます。

波に乗るレイカーズはラジャン・ロンドのパスを受けたカイル・クーズマがセンターとしてゴール下でユスフ・ヌルキッチをフェイクでかわして見事なリバースレイアップを決め、スモールラインナップの破壊力も発揮。7分を経過したところでレブロンがディフェンスリバウンドから見事なコースト・トゥ・コーストでレイアップを決めると、早くも10点のリードとなりました。

NBA最大のスター選手が加入したレイカーズが、初戦にして圧倒的なオフェンス力を発揮する。見事なストーリーが生み出される空気が流れてきたのでした。

ホームでの開幕戦、ブレイザーズの負けられない理由

しかし、迎え撃つブレイザーズにも単なる開幕戦ではない特別な事情がありました。開幕直前にオーナーのポール・アレンが亡くなっていたのです。マイクロソフトの共同創業者として知られるアレンは1988年にブレイザーズのオーナーになると、チームに愛情を注ぎます。ブレイザーズは優勝こそ達成できなかったものの、常に強豪チームであり続けました。

そんなアレンへの追悼の思いを込めて、この試合にポール・アレンの名前がデザインされたバッシュで臨んだのがエースのダミアン・リラードでした。昨シーズン、オールNBAファーストチームに選ばれたポイントガードは、クラッチタイムの強さで知られています。

この試合リラードの初得点はドライブからのダンクシュート。昨シーズンはわずか11本だったダンクを開幕早々に決めたのです。試合開始早々に大きなリードを許したブレイザーズですが、徐々にレイカーズのミスを捉えて反撃していきます。

リードを奪われても慌てないテリー・ストッツヘッドコーチはリラードを下げ、ニック・スタウスカスを起用しコート上の5人全員がベンチメンバーになると、そのスタウスカスが4本の3ポイントシュートを決め、一気に逆転に成功します。

しかし、レイカーズもレブロンをコートに戻すとじわじわと追い上げ、試合は一進一退の白熱した展開に。前半のラストプレーでリラードが見事なドライブからレイアップを決めて2点リードで折り返しますが、第3クォーターの最後はレイカーズのイアン・ハートがブザービーターで3ポイントシュートを決めて、接戦のまま最終クォーターに突入しました。

オフェンスが機能しないレイカーズを突き放す

昨シーズンは多くのルーキーをスターターで使う若いメンバーで戦いながら、35勝47敗と善戦したレイカーズ。そこに加わったレブロンの存在は、単にチームが強くなるというだけでなく、こんな接戦でこそ違いを生み出し勝利に導いてくれることが期待されます。この試合も26点12リバウンド6アシストと格の違いを見せつけてきたレブロンでしたが、メインでマッチアップされたアル・フォンク・アミヌを相手にすると、49回のオフェンス機会で8得点、3ターンオーバーと苦しめられ、特に終盤のオフェンスでは意図の分からないパスミスも出るなど、チームメートとの呼吸も合わず、なかなかオフェンスを機能させられませんでした。

対するリラードは残り8分40秒で相棒のCJ・マッカラムとともにコートに戻ると、勝負強さを発揮します。3ポイントシュートでリードを奪うと、今度はマッカラムが2本の3ポイントシュートで追撃します。ショットクロックをたっぷり使ってコントロールし、レイカーズのトランジションに乗らず、ディフェンスがプレッシャーを強めようと前掛かりになると、すかさずザック・コリンズを裏のスペースに走らせてアリウープ。こうしてセーフティーリードを得ました。

レイカーズもクーズマ、ハート、コールドウェル・ポープが3ポイントシュートを立て続けに決めて食い下がりますが、残り1分でリラードがドライブでファウルを受けながらレイアップでバスケット・カウントを決め、勝利を決定づけました。

NBAファンの注目が集まったレイカーズの初戦は、終わってみればレブロンの波に飲み込まれることなく、いつもの勝負強さを遺憾なく発揮したリラードによって、ブレイザーズが亡きオーナーに捧げる勝利を手にしました。そして今シーズンもクラッチタイムに試合を支配するリラードの『デイム・タイム』が健在であることを世界中のファンに伝えることにもなったのです。