富永啓生

非凡なシュート力に加え、指揮官は富永の気持ちの強さも称える

ワールドカップ2023のアジア予選Window3、バスケ男子日本代表はオーストラリアに52-98と圧倒されて終わった。すでに開催国枠での出場権を得ている日本にとって、この予選はなんとしても勝たなければいけない試合ではない。また、海外組の八村塁、渡邊雄太、馬場雄大は不在かつ、国内組に関しても多くの新戦力を試している点など考慮すべき要因はいくつかある。ただ、相手のオーストラリアもNBA組は不在でベストメンバーには程遠い陣容であり、試合を見た多くのファン、関係者に大きな失望と危機感を与える内容だったことは間違いない。

非常に先行きが不安になる重苦しい現実を突きつけられた中、ほぼ唯一の明るい材料はこの試合がフル代表デビューとなった富永啓生の奮闘だった。多くの選手がオーストラリアの高さ、フィジカルに気圧されてしまっていたが、アメリカの大学バスケットボール界でも随一のパワーカンファレンスと評されるビッグ10のネブラスカ大で切磋琢磨している富永だけは違っていた。

高校時代から定評のあった軽快なステップと巧みなボールハンドリングに磨きをかけ、クイックリリースから放たれる3ポイントシュートを11本中5本決めるなどチームで唯一の2桁得点となる18得点を記録。その活躍ぶりは指揮官トム・ホーバスも「富永はとてもステップアップして、チームにフィットすることを示してくれました。塁や雄太と一緒にプレーすると面白いかなと思います」と称賛。そして、スキルだけでなく、メンタルの逞しさについても触れた。

「(フル代表のデビュー戦なので)『緊張しますか?』と聞いても、『そんなことはないです』と答える。彼は自分に自信を持っています」

富永啓生

「自分たちがやってきたプレーを見せたい」と次戦への巻き返しを誓う

富永本人は、鮮烈なインパクトを与えた一戦について「最初はシュートを決めたい気持ちが強すぎて、1対1からのタフショットとかいつもはやらないようなプレーをしてしまいました」と気負いがあったと振り返る。

しかし、すぐに冷静になり本来のプレーを遂行できた。「タイムアウトでコーチからいつも通りのプレーをすればシュートチャンスが来ると言ってもらいました。そこからノーマークの時に自分のシュート打つことで流れがつかめたと思います」

周囲からすると文句なしの内容だったように見えるが次のように課題を語り、3日に行われるチャイニーズ・タイペイ戦へ決意を新たにする。「ドライブからジャンプ&ストップでのシュートは、相手のフィジカルに負けてタフショットになってしまいました。もっとフィジカルをつけたいです。3ポイントシュートはいつも通りに打てました。チャイニーズ・タイペイ戦はメンタル面で負けずに自分たちがやってきたプレーを見せたいです」

そして待望のフル代表デビューを果たしたことへの特別な思いを明かす。「U18以来となる5人制の代表で、やっとこの舞台に立てたという思いです。ここから日本をもっと強くしていきたいです」

この言葉通り、『富永なら日本を強くしてくれる』と、希望を与えるパフォーマンスを見せてくれた逸材が、次戦ではどんなプレーで魅了してくれるのか待ちきれない。そして富永に頼ってはいられないと他の選手たちのより一層の奮起にも期待だ。