安藤誓哉

セミファイナルで琉球に惜しくも敗戦「琉球さんの覚悟を本当に感じました」

島根スサノオマジックはセミファイナルで琉球ゴールデンキングスに連敗。今シーズン、チーム史上初のチャンピオンシップ出場を果たすと、クォーターファイナルでは強豪のアルバルク東京を撃破と快進撃は続いたが、ファイナル進出とはならなかった。

琉球との2試合、島根は第1戦では第1クォーター終盤に最大21点のリードを奪いながら85-94の逆転負けを喫した。第2戦は一進一退の激闘となったが、最後のポゼッションでブザービーターをくらい70-72と敗戦。2試合ともに勝つチャンスは大いにあったが、琉球の底力に屈してしまった。

この2試合、島根はペリン・ビュフォードが第1戦で27得点8アシスト、第2戦で34得点3アシストと大暴れだった。ただ、琉球がダブルチームなど徹底マークしなかったこともあり、ビュフォードの一点突破を繰り返したことで、他の選手たちになかなかボールが回ってこない展開となった。その影響も大きく、クォーターファイナルで大活躍だった安藤誓哉は2試合続けて6得点と本領発揮とはならなかった。

特に2試合目はフィールドゴール12本中2本成功と苦しんだ。それでも3点を追う残り52秒には同点となる3ポイントシュートを成功させた。彼らしいここ一番の勝負強さを見せたが、あれは狙って決めた一撃だったと振り返る。「最後の最後、チャンスが回ってくる時のため常に集中していました。あのシュートを決める前のディフェンスから次はこの状況で決めないといけないと準備をしていました」

相手はリーグ最高勝率の琉球で、しかも舞台は8,000人を超える観客が詰めかける敵地の沖縄アリーナと、相手に大きなホームコートアドバンテージがある。だからこそ安藤は「ディフェンスで何度もしがみついて、僕たちが最後のチャンスをモノにしないと琉球には勝てないと思っていました。その戦いが今日は一番実行できていました」と勝利の道筋を描き、その通りに試合は推移していった。

しかし、「ただ、これまで3度続けてセミファイナルで負け、今日の僕たちと同じ思いをしてきた琉球さんの覚悟を本当に感じました」と語ったように、悲願のファイナル進出にかける琉球の執念を食い止めることができなかった。

安藤誓哉

「めちゃくちゃ悔しいですけど、後悔はないです」

もちろん優勝を目指して戦っていただけに、ここでの敗退に満足はできない。ただ、一方でA東京からの移籍1年目で、チームの大黒柱として島根をこれまでにない高みへと引き上げたことへの達成感もある。そういった思いから「めちゃくちゃ悔しいですけど、後悔はないです」と安藤はシーズンを総括する。

「チームビルディングを始めるところからケガ人などが出て、どこのチームもそうですが、僕らもなかなか苦しい思いをしました。その中でもみんなで助け合ってなんとか崩れずにここまで来られました。新しいヘッドコーチ、チームメートと出会い、チームを優勝させるためにポイントガード、キャプテンとして引っ張っていく。新しい環境、経験を味わった充実したシーズンでした」

死力を尽くして戦い続けた中、ブザービーターによる敗退は大きなショックであり、そのまま呆然と立ち尽くしてもおかしくない。だが、安藤は琉球の桶谷大ヘッドコーチを見つけると、自ら駆け寄って祝福した。桶谷ヘッドコーチは「誓哉が来て『桶さん、これでファイナルですよ』と言われ、少し泣きそうになってしまいました」と、その時の様子を明かした。

コート上での圧倒的なプレーだけでなく、その後の振る舞いでもトップ選手の姿を披露。最後の最後までファンを魅了した安藤は新天地であらためて心技体を備え、チームを勝たせる司令塔であることを証明した。