9年ぶりの古巣復帰で大きな功績、琉球を率いる桶谷大の哲学「成功しようが失敗しようが正しいことをやり続ける」

9年ぶりの古巣復帰で大きな功績、琉球を率いる桶谷大の哲学「成功しようが失敗しようが正しいことをやり続ける」

2022/05/23 18:45
桶谷大

「冷静に一つひとつのポゼッションを繋ぎ、最後にしっかり勝負できた」

琉球ゴールデンキングスはセミファイナルの島根スサノオマジック戦に連勝。過去4度跳ね返されてきた鬼門、セミファイナルの壁を遂に打ち破り、チーム史上初のファイナル出場を決めた。

今シーズンの琉球はレギュラーシーズンで圧倒的な強さを誇り、49勝7敗でリーグ歴代1位の勝率.875をマーク。そして、チャンピオンシップも4連勝で頂上決戦へと駒を進めた。もちろんチームの目標はあくまでリーグ制覇であり、これで満足している人はいない。ただ、現時点ですでにチーム史に残る偉業を成し遂げているのは確かで、そこには9年ぶりの古巣復帰となった桶谷大ヘッドコーチの手腕があってこそだ。

桶谷ヘッドコーチの復帰は少なくない衝撃だった。前回の就任時は初優勝を含め4シーズンで2度のbjリーグ制覇と現在まで紡がれている琉球のチーム文化の礎を築いたが、一方で直近3シーズンはB2の仙台89ERSのヘッドコーチを務め、いろいろな要因があるにせよ最終的には目標とするB1昇格を成し遂げられなかった。その指揮官が、絶対的な西地区王者となっているB1屈指の強豪に復帰となれば、古くからのファンの大きな声援と同じく、懐疑的な声もあったはずだ。しかし、そういった雑音を開幕からの快進撃ですぐに吹き飛ばし、今に至るまで順調に勝利を積み重ねた。

就任以来、桶谷ヘッドコーチがずっと強調してきたのは「どんな状況になってもチーム全員が同じ方向を向いて、自分たちがコントロールできることをやり続けること」だ。シンプルではあるが、40分間継続するのが簡単なことではないこのミッションを、チャンピオンシップの大一番でもチームがしっかり遂行できているのは4連勝の結果が示している。

第2戦後の会見で指揮官はこのように勝因を語った。「流れが行ったり来たりの試合展開で一度、9点リードを許したところでもなんとか踏ん張って自分たちのやるべきことをやり切れました。冷静に一つひとつのポゼッションを繋いでいき、最後にしっかり勝負できたかなと思います」

琉球ゴールデンキングス

宇都宮の安齋HCとの関係「ファイナルで出会えたら最高だよねと話をしていました」

ファイナルの対戦相手は宇都宮ブレックス。ハードワークと堅守を基盤とし、日本人選手がオフェンスの起点を担い、外国籍よりも多く得点を挙げている部分など共通点も多い。そこには「Bリーグの中で一番、仲の良いコーチです。チャンピオンシップに入ってからはほぼ毎日、お互いに電話をし合うような関係で、最後ファイナルで出会えたら最高だよねという話しをしていました」と明かす、安齋竜三ヘッドコーチとの関係性も影響しているだろう。

この似たもの同士の対決について桶谷ヘッドコーチは、あくまで自分たちがチャレンジャーであると強調。「宇都宮さんはチャンピオンシップにも強い。どのチームも簡単に打ち破れない、かなりタイトなディフェンスをしてくるチームです。その相手に臨める挑戦権を得たことは本当にうれしいです」

そして、レギュラーシーズンの対戦では残り0.9秒からのインバウンドパスを決める劇的勝利を含め、12月に敵地で連勝しているが「レギュラーシーズンは全く関係ないので忘れないといけないです」と続ける。「自分たちがやるべきことは今までやってきた40分間冷静に一つひとつ積み上げていくこと。チャンピオンシップの試合は、選手にとってかなりストレスがかかります。それに加えて宇都宮さんは一番相手にストレスのかかるディフェンスをしてきます。そこで2つ勝つにはやっぱり何があっても仲間を信じて、自分たちのやるべきことをやり切る。そこにフォーカスをしていきたいです」

桶谷大

bjリーグ時代に続き、2つ目のリーグ初制覇をもたらすことができるか

あらためてファイナルまでの歩みを振り返る時、指揮官はこれまでの経験で培ってきたものが今シーズンのチーム作りの基盤になっていると語る。「これまで15年、16年とコーチをしてきて、いろいろな戦いを経験してきたことが今、生きています。成功しようが失敗しようが正しいことをやり続ける。それが今シーズンはできていて、今日の結果に繋がりました」

実際に琉球を離れた後、酸いも甘いも嚙み分けてきた。資金力で劣る岩手ビッグブルズをbjリーグでファイナル4に導く快挙もあれば、仙台でB1昇格を成し遂げられなかった苦い経験もある。また、Bリーグ初年度には大阪エヴェッサを率い、レギュラーシーズン最終週でチャンピオンシップ出場権を争っていた琉球と直接対決した。2試合で1勝すればチャンピオンシップ出場が決まる状況で、初戦の第3クォーター残り約2分半で20点の大量リードを奪っていながら痛恨の逆転負けを喫し、翌日も敗れてシーズン終了となる絶望も味わった。

まさに山あり谷ありの経験を乗り越え、心身ともに過酷なヘッドコーチ職を複数のチームを渡り歩いてずっと務めてきた『継続は力なり』を体現してきた桶谷ヘッドコーチだからこそ、今のブレない琉球を作り上げられたと言える。この集大成をファイナルの舞台でも発揮できた時、bj時代に続く2つ目の初優勝をチームにもたらすことができるはずだ。

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