前半は15点ビハインドを背負うも、後半には4点差まで詰め寄る
5月21日、川崎ブレイブサンダースはホームのとどろきアリーナに宇都宮ブレックスを迎えて、チャンピオンシップセミファイナルに挑んだが、大事な初戦を70-83で落とした。
前半から川崎は宇都宮のハードな守備を前にリズムを作れなかった。そのため、シュートではなくターンオーバーでオフェンスを終える場面が増え、前半だけで8ターンオーバーを犯し、そこから14得点を宇都宮に奪われた。
同じ2点でも自分たちのハードな守備からボールを奪って繋げた得点は大きな価値があり、その点数以上に試合に与える影響は大きい。佐藤賢次ヘッドコーチは「第2クォーター終わりのターンオーバーが続いたところで、相手に勢いを持っていかれた」と振り返った。
篠山竜青も「前半は宇都宮さんのディフェンスに苦しめられた印象です」と語る。「いろいろなディフェンスの引き出しがあるチームなので、ピック&ロールに対しても、少し川崎が判断を迷わされた部分がありました。それに加えて、第2クォーターはアフターフリースローやアフタータイムアウトのゾーンプレスに対しても、普段は冷静にやっているプレスブレイクが少し疎かになりました」
出だしこそピック&ロールから次々とシュートを決めていたが、すぐに宇都宮に対応されてしまった。そのため篠山が言うように、川崎のハンドラー陣は宇都宮の守備を前にスムーズにゲームメークをすることができなかった。特に13-22とビッグクォーターを許した第2クォーターは自分たちのオフェンスができず、マット・ジャニングが個人技で宇都宮ディフェンスを打開する場面がほとんどだった。
前半を終えた時点で15点ビハインドを負い、パブロ・アギラールがこの試合を欠場している上に、ジョーダン・ヒースまで前半だけで個人ファウル3つと苦しい状況になったが、後半になると、大黒柱のニック・ファジーカスを起点に得点を重ねて、徐々にリズムを立て直した。また、前半はジャニングが個人技でシュートをねじ込んでいたが、後半になるとボールムーブも改善されて、チームで作り出したシュートシチュエーションからの得点も増えた。そのため、一時は最大18点差もあったが、第4クォーター残り5分24秒にはジャニングの3ポイントシュートで4点差にまで追い詰めた。しかし、追い越すには至らず、初戦を落とした。
佐藤ヘッドコーチ「絶対にやり返したい」
佐藤ヘッドコーチは出遅れた前半について「我慢しきれなかった」と反省した。「相手のシュートが入ったところで我慢しきれなくなり、シュートフェイクで跳んでしまったり。そこで中に割られて、また良いボールムーブが生まれました」
そのため第2戦に向けて、あらためて「チーム全体で共通認識を持つこと」とディフェンスのポイントを語った。そして、「後半は盛り返しましたが、一つひとつのリバウンドやプットバックをやられたところの差が出てしまいました」と、対戦相手が宇都宮に決まった時から鍵に挙げていた『リバウンド』を再び強調した。「良いディフェンスができていたり、ゾーンが効いているのに、リバウンドを取られてしまったので、最後のリバウンドを徹底することが第一です」
第1戦を落とし、崖っぷちの川崎だが、篠山は「後がないとか、結果がとか、そういう状況でやったとしても40分後のことは誰も分からない」と前を向く。「とにかく1ポゼッションごと、1秒1秒に集中して積み重ねていくしかない」
この試合では、守備職人の長谷川技が第3クォーター中盤で足を痛めてロッカールームに下がり、その後は試合に戻って来ないアクシデントも発生した。しかし、そんな中でも後半だけを見れば38-40と拮抗した戦いを見せた。
そして、佐藤ヘッドコーチが「明日もあるので修正して切り替えて、絶対にやり返したいと思います」と語ったように、第1戦は落としたがチャンスを失ったわけではない。さらに言えば、第1戦を経て改善点ははっきりした。そのため、いかに同じミスをせずに、第1戦よりも長い時間で川崎のバスケットを展開できるか。一試合でも多くシーズンを続けるため、そしてファイナルに進出するためにも、今日の第2戦で彼らがどんなバスケットを見せるか期待したい。