サイズのアドバンテージを生かしつつ、アウトサイドシュートも高確率で沈める
レギュラーシーズンを東地区2位で終えた川崎ブレイブサンダースは、チャンピオンシップクォーターファイナルでホームに名古屋ダイヤモンドドルフィンズを迎えた。
レギュラーシーズン中の対戦は1勝1敗だが、クォーターファイナル第1戦では川崎がすべてのクォーターを上回って97-71で勝利し、シリーズ突破に王手をかけた。
この試合、名古屋Dはコティ・クラークとオヴィ・ソコの外国籍選手2人がケガで欠場したため、日本人以外の選手はスコット・エサトンとアジア特別枠のレイ・パークスジュニアのみという状況だった。さらに、前半の終盤でパークスジュニアが身体を痛めて一時ベンチに下がり(後半はプレーしたが第3クォーターの4分54秒のみ)、第3クォーター残り3分11秒には、ここまで19得点13リバウンドを挙げていたエサトンがブロックに跳んだ際の着地で足首を捻り、ロッカールームに下がるアクシデントに見舞われた。
川崎は出だしから全員がリングにアタックする積極性を見せると、高さのアドバンテージを生かしてインサイドを中心にオフェンスを組み立てた。名古屋Dは川崎のインサイドに対してダブルチームで対応したが、ジョーダン・ヒースはディフェンス2枚の上からシュートを決めてみせた。また、アドバンテージがあるインサイドに固執するのではなく、ビッグマンがディフェンスを引き寄せてはフリーになった仲間にパスアウトし、3ポイントシュートを決めていった。バックコート陣もペイントアタックで名古屋Dのディフェンスを収縮させて、味方のシュートチャンスを作り出した。
その中でも先発の熊谷尚也は高さと機動力を生かして積極的にアタックし、第1クーターだけで9得点を挙げてチームに貢献した。全員が3ポイントシュートを打てる川崎は、名古屋Dにディフェンスの的を絞らせず、試合を通じて14本(成功率43.8%)を決めて、名古屋Dを寄せ付けなかった。
オフェンスだけでなく、持ち前のハードな守備はレギュラーシーズンよりもさらに強度が高いものになり、12スティールを挙げ、名古屋Dから16ものターンオーバーを誘発して主導権を渡さなかった。 最終的に川崎は藤井祐眞が3ポイントシュート7本中5本成功を含む21得点と7アシスト3スティール、熊谷が3ポイントシュート2本成功を含む14得点2リバウンド2スティールを記録し、計5選手が2桁得点をマークした。また、名古屋Dのダブルチームを効果的に利用したことでアシスト数も増え、チームで30アシストを挙げた。
「チャンピオンシップは勢いに乗った方が試合を有利に進められる」
出だしからエナジー全開のプレーでチームを牽引した藤井は「今日からチャンピオンシップで、出だしが一番大事になると思っていました」と振り返った。「チャンピオンシップは勢いに乗った方が試合を有利に進められると思うので、その意味でも出だしが重要になると思っていました。後半も前半同様、自分たちに勢いを持って来ることができたので、すごく良い形で入れたのが良かったです」
第1戦での川崎は、2ポイントシュート成功率とベンチポイント以外のチームスタッツのすべてを上回ったが、藤井は「僕たちがやりたかったことを全部できたわけではない」と満足していない。
そして「毎試合で相手のオフェンスリバウンドを10本以下に抑えようと話していて今日は9本でした」と語りつつ、相手のチーム状況を見てこう続けた。「名古屋さんは本当に苦しい状況だと思います。僕たちは僕たちなりにオフェンスリバウンドを10本以下に抑えていて良いと思いますが、相手の外国籍選手がいない中で、3ポイントシュートやトランジションでガンガン攻められました。前半は狩野(祐介)選手にトランジションで3ポイントシュートを何本かやられたり、オープンでシュートチャンスを作られて打たれてしまいました」
「相手がスモールラインナップをした時に、ローテーションでもっとしゃべってコミュニケーションを取らないといけないと思います。明日はまだエサトン選手がどうなるか分からなくて、本当に名古屋さんは苦しい状況だと思いますが、今日みたいにアグレッシブに100%、120%でぶつかってくる戦い方をしてくるので、絶対に受けに回らずに、僕たちからやっつける気持ちで望みたいです」
川崎がシリーズ突破に王手をかけて迎える第2戦は、5月15日の16時5分から始まる。