ジャック・クーリー

琉球ゴールデンキングスはレギュラーシーズンで49勝7敗、リーグ歴代1位の勝率.875を記録してチャンピオンシップに臨む。過去3回連続セミファイナルで敗退した壁を打ち破り、今年こそ悲願のファイナル進出を果たすために大きな鍵となるのは、持ち味であるリバウンドでどれだけ主導権を握ることができるか。そのためには、リーグ随一のリバウンダーであるジャック・クーリーの働きが重要となる。琉球というチームだけでなく、沖縄そのものを深く愛するビッグマンに、来るべき決戦に向けて思いを聞いた。

「今年はよりチャンピオンシップに向けて準備ができています」

――レギュラーシーズンの振り返りをお願いします。

僕たちは素晴らしい仕事をしたと思います。毎試合、問題にしっかりと対処しとても集中してプレーできました。常に高い集中力を発揮できていたのは、チャンピオンシップに向けてとても良いことです。リーグ最高勝率を残すことができて、チームのことを誇りに思います。今年はよりチャンピオンシップに向けて準備ができていると感じます。

今シーズンがチーム在籍3年目ですが、これまでとは違った手応えを得ています。誰がプレーしていても、相手よりも良いチームという気持ちでしたし、実際にそう言える成績を残しました。昨シーズンに比べると、選手層が厚くなりました。例えば(今村)佳太、(小野寺)祥太は成長し、チームとしても皆さんが見て分かるように向上ました。1年前とは違う手応えです。

僕たちは安定感のあるプレーが本当によくできていると思います。プレシーズンでヒュー(渡邉飛勇)、前半戦でタシ(田代直希)、後半戦になって牧(隼利)が故障で離脱したり、何かがあってもチーム全体で穴を埋めています。互いに協力し合うことで、穴を補えるのは特別なチームができることです。

――クーリー選手個人としては、過去2シーズンと比べて出場時間も減りました。その結果として3年連続のリバウンド王を逃すことにも繋がりましたが、どのようにとらえていますか。

プレータイムが少なくなったのは良いことです。インサイド陣を見るとアレン(ダーラム)は素晴らしい選手で、(小寺ハミルトン)ゲイリーの加入も大きいです。おかげで自分が出場している間は、よりハードにプレーでき、より大きなインパクトを与えられます。1試合20分、25分の出場時間なので今はもう試合中に疲れを心配する必要はないです。

リバウンド王を取るには出場時間が足りなかったです。ただ、その代わりに多くの勝利を得ましたし、このままリーグ優勝も勝ち取りたいです。優勝が目標なので、リバウンド王のことは気にしていないです。そして、タイトルに輝いた(セバスチャン)サイズ選手におめでとうと言いたいです。

ジャック・クーリー

「僕たちには常に全力で応援してくれる日本一のファンがいます」

――チャンピオンシップではホームコートアドバンテージを獲得しました。沖縄アリーナで戦えることの意味について教えてください。

観客の制限があり5,000人が最大であった時も大きなホームコートアドバンテージでした。それがこの前の千葉戦のように満員となれば、とてつもなく強力です。僕たちには常に全力で応援してくれる日本一のファンがいます。クォーターファイナル、セミファイナルをホームで開催できるのは素晴らしい贈り物です。

――ファンに関してですが、クーリー選手はいつも試合後コートを一周して観客に挨拶する時、最後尾で時間をかけて手を振っています。そういった熱心な対応に子供のファンも多いです。

ファンの皆さんはとても熱狂的で親切で、小さいファンを会場で見られるのはうれしいです。僕は子供の時、バスケットボールの試合に行って好きな選手の名前を叫んでいました。それに選手が反応して手を振ってくれたらとても幸せでした。だから僕が手を振ることで、沖縄アリーナに来た子供たちが少しでもより楽しんでくれたら僕も良い気分になります。

――クーリー選手がプロ選手になってから琉球に来る前、1年毎にチームを変えていました。それが琉球では今シーズンが3年目です。その理由はどこにありますか。

これまでプレーした国やチームも素晴らしかったです。でも沖縄は全く違う感覚です。キングスは組織としてとてもプロフェッショナルな対応をしてくれています。アリーナも文句なしです。ファンの皆さんも素晴らしいですし、今は沖縄を自分のホームと感じています。また、バスケットボールを離れたところで接する人々も親切です。僕はオフコートの暮らしに重きを置く人物で、その点についても沖縄は大好きです。妻も沖縄が好きですし、すべてが最高です。

ジャック・クーリー

「ここからのすべての試合をシーズンで最も大事な一戦ととらえて臨みます」

――チャンピオンシップで勝ち抜くため特に重要なのはどんな部分になるでしょうか。

ここまでシーズンを通してやってきたことを続けることです。チャンピオンシップだからと何かを大きく変えるのではなく、これまでと同じく本当にハードにプレーする。同じスタイル、ローテーションで戦うことで多くの成功を収められると思います。

キングスに加入1年目はシーズンが途中で打ち切りとなりチャンピオンシップはなかったです。昨年は、千葉さんがとても強いチームでタフな終わり方となってしまいました。今年は過去2シーズンと違います。僕たちはファイナルに進むべきチームと思っていますし、そこへのプレッシャーはあります。ただ、僕たちはこの重圧に対応できるチームで、チャンピオンシップで自分たちの実力を披露できることを楽しみにしています。

――勝ち進むためには、リバウンドが重要な要素になってきます。特にクーリー選手がオフェンスリバウンドを取って攻撃回数を増やすことで、チームはリズムに乗っていけると思います。

オフェンスリバウンドは自分の持ち味で自信があります。できる限りどんな方法でもチームを助けていきたいですが、その中でもリバウンドは貢献できる部分です。そして、この点についてプライドを持っています。

――ファンへのメッセージをお願いします。

長い戦いのレギュラーシーズンで成功を収めることはできましたが、僕たちの戦いは終わっていません。みんなこれからの3週間に集中しています。ここからのすべての試合をシーズンで最も大事な一戦ととらえて臨みます。そして、沖縄にチャンピオンシップを持ち帰ってきます。