ニック・ファジーカス

宇都宮の激しいディフェンスに気圧され、同地区ライバルに敗れる

4月20日、川崎ブレイブサンダースは敵地で宇都宮ブレックスに64-68で敗れた。1試合平均で27得点以上を挙げ、オフェンスの起爆剤となっている藤井祐眞とマット・ジャニングのガードコンビが、2人合わせてフィールドゴール21本全て失敗の計6得点と急ブレーキに陥ったことを考えれば、よく我慢して接戦に持ち込んだと評価することもできる。

ただ、内容を振り返ると、試合の出だしでディフェンスの圧に負けピック&ロールが全く機能しなかったことは課題だ。インサイドを全く突くことができず外からのタフショットを打つことを余儀なくされ、宇都宮に先手を取られてしまうと、その後も終始、相手のペースで試合は進み第3クォーター終了時点で14点のリードを奪われてしまった。

第4クォーターはディフェンスで激しく仕掛けると、宇都宮の安易なターンオーバーにも助けられ猛追するが、相手を追い詰めるまでには至らず。シュートは水物と言うが、3ポイントシュートが31本中8本の成功に終わったのは必然の結果と思えるほど、良い形で打てた機会は少なかった。

川崎の佐藤賢次ヘッドコーチは試合をこう総括する。「徹底的にスカウティングされた激しいディフェンスを受け、なかなか良いシュートが打てない我慢の展開でした。その中で自分たちのディフェンスの足の動きにも影響してきて、特に前半でリバウンドやローテーションが崩れてしまったところがチームとして非常に残念な部分でした」

ニック・ファジーカス

「今のままではチャンピオンシップを良い感触で迎えることはできない」

また、この試合で24得点と奮闘したニック・ファジーカスは、「順位的にも宇都宮さんと競っていて、今日の試合は絶対に勝とうと思ってアウェーに来たのですごく残念です」と語り、敗因を次のように見ている。

「宇都宮さんのピック&ロールのディフェンスに対して、準備が足りていなかったです。そこでターンオーバーをしたり、自分たちの思い通りのプレーができず、点数が伸びなかったのが敗因だと思います」

そして川崎の大黒柱は、第4クォーターの追い上げで接戦に持ち込んだものの、プレー内容については厳しい見解を示す。「前半に比べると、後半は自分たちのプレーができていました。あと一歩のところまで追い上げましたが、個人的には自分たちが勝利に値するプレーをしていた訳ではなかったと思います。もし、逆転できていたとしてもそれは少しラッキーだった感じです」

3月上旬に天皇杯で連覇を成し遂げ、上昇気流に乗ったかと思われた川崎だが、4月10日の秋田ノーザンハピネッツ戦ではハーフコート付近からの劇的ブーザービーターを決められ、第4クォーターで19点のリードをひっくり返される痛恨の逆転負けを喫した。東地区3位の川崎だが、ここ7試合では4勝3敗となり、チャンピオンシップのクォーターファイナルでホーム開催を獲得できる東地区2位への浮上がかなり厳しい状況に追い込まれ、それどころが、地区4位の宇都宮とはわずか0.5ゲーム差と肉薄されている。

この現状にファジーカスは危機感を隠さない。「ここ数週間で名古屋Dさん、秋田さんに負けて、今日も負けてしまったので自分たちの勝ちパターン、リズムをつかめていないと思っています。ここから先、チャンピオンシップに向かって自分たちのやりたいこと、勝てるバスケットを習慣づけていかないといけない。今のままではチャンピオンシップを良い感触で迎えられません。それでは勢いに乗って勝つことができないと思うので、勝ち癖をつけていきたいです」

今、悪い流れに陥っている川崎だが、今週末からホーム5連戦と多くのファンの下でプレーできるのは大きな助けだ。週末の新潟アルビレックスBB戦を経て、27日には千葉ジェッツ、30日と5月1日にはアルバルク東京と続くタフな日程で結果を残すことができれば、流れを好転させることができる。逆に言えば、リーグ制覇に向け、なんとしても浮上のきっかけをつかまないといけない試練の5試合が始まる。