サンロッカーズ渋谷

途中加入のジョーンズがチームハイの活躍で勝利

サンロッカーズ渋谷は群馬クレインサンダーズとの第1戦を78-70で勝利した。現在東地区6位、ワイルドカードでのチャンピオンシップ進出を目指すSR渋谷にとって貴重な1勝だった。

また、途中加入したケビン・ジョーンズがチームハイの活躍て勝利したことも一つの収穫だ。3月15日にSR渋谷に加入したジョーンズはこれまでに8試合に出場し、平均9.2得点を記録していたが、2桁得点を挙げた3試合はいずれも敗れていた。

この試合では3本の3ポイントシュートを含む19得点を挙げた。特筆すべきは終盤にボールを託されたこと。群馬のチームファウルがすでに5に達していた状況で、ジョーンズはポストプレーからフリースローを獲得し、残り46秒には試合を決定づけるフックシュートを決めた。

ジョーンズはこの場面をこう振り返った。「試合の終盤にチームがポストアタックする指示をくれました。そこで時間をかけて、焦らずに攻めることができました。ダブルチームが来たらパスをして、来なかったら自分で行く。シンプルな判断をした結果です」

チームのスタイルが確立されているシーズン終盤に加入し、すぐにフィットすることは簡単ではない。ましてや、比較的に長いプレータイムを与えられる外国籍選手にとって、SR渋谷のような徹底したタイムシェアをするチームへのアジャストは難しいだろう。それでもジョーンズは「タイムシェアに関しては何も問題ありません」と言う。

「夏にハードに練習していましたし、普段からチームメートとジョークを言い合うような関係性で、コート上でもお互いに楽しみながらプレーできています。40分だろうが10分だろうが、コートに出たら自分のベストを尽くしてチームに貢献するだけで、起用法によってプレーがしづらいなどはないです」

伊佐勉ヘッドコーチは「ポストアップは彼らしいパーセンテージ(精度)まで上がってきていないですが、スモールでいくのか、彼の3ポイントシュートを演出するのか、そこのバランスがだんだん良くなってきています」と言い、タイプの異なる3人の外国籍選手の起用法に手応えをつかみ始めている。

サンロッカーズ渋谷

「頑張って良いディフェンスをしたのに簡単にボールを失う」

スタッツだけを見れば、群馬から22ものターンオーバーを誘発し、そこから31点を奪ったのだから、SR渋谷の完勝だったと言える。伊佐ヘッドコーチも「ここ数試合、ディフェンスで踏ん張れるようになってきたので、結果的に勝ちに繋がったと思います」と、ディフェンスの勝利を強調した。

しかし、試合後のコートインタビューではホームのファンに向け「冷や冷やしましたよね? 僕はイライラしました」という言葉を投げかけた。それはSR渋谷が終始主導権を握っていたにもかかわらず、ターンオーバーから自滅し、何度か1ポゼッション差に迫られた時間帯があったことに起因する。

「頑張って良いディフェンスをしたのに簡単にボールを失う。乗れそうな時に自分たちで流れを切るということがすごくあったので、そこにずっとイライラしていました。向こうが良いディフェンスをしているわけでもないので、無くせるミスかなと思ってイライラしました」

伊佐ヘッドコーチがそう言うように、SR渋谷はインテンシティの高いディフェンスでタフショットを強いり、そこから良い展開に持ち込んだものの、アウトナンバーでのシュートが決まらなかったり、軽率なターンオーバーから逆速攻を食らうなど、リードを広げられる場面でのミスが目立った。

また、ハーフコートオフェンスが上手くいかずに1on1のシュートで終わるシーンも多々あった。これは練習中から激しいディフェンスでやり合っているSR渋谷がゆえの相性の悪さによるもので、伊佐ヘッドコーチも「普段の練習からプレッシャーがない練習をしていないので、慣れていないのは事実です」と語った。

「間合いが空いているので、いつでもシュートを打てるのでドリブルをつきすぎていました。群馬さんのようなサイズを生かした、いやらしい間合いでやってくるタイプは苦手かなと思います」

それでも、チャンピオンシップ進出を目指す上では何よりも結果が大事で、こうした苦手なタイプを相手にしても勝ち切れたことに意味がある。初戦を踏まえ、第2戦を圧倒することができれば、逆転でのチャンピオンシップ進出は現実味を増す。