栃木ブレックス、B1デビューの福岡に苦戦するもライアン・ロシターの大活躍で勝利

2018/10/06
Bリーグ&国内
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ライアン・ロシター

文=鈴木健一郎 写真=太田勝也

「焦らずに、最終的に1点勝っていればいい」

B3から2年連続昇格でB1へと上がって来たライジングゼファーフクオカのB1デビュー戦。Bリーグ初代王者の栃木ブレックスを迎え撃つとあって士気は高く、会場の福岡市民体育館は3263人の観客を集めて大いに盛り上がった。さすがの栃木でも難しい試合だったと言える。

実際、立ち上がりは猛烈な福岡のペース。ゾーンディフェンスで不意を打ち、オフェンスではインサイドの外国籍選手にシンプルにボールを託して得点を重ねていく。栃木は相手の勢いに気圧される形で開始3分で1-12と突き放され、たまらずタイムアウトを要求した。

その後はリバウンドからの速い展開から栗原貴宏、遠藤祐亮の3ポイントシュートが決まるが、福岡はセカンドユニットに代わっても城宝匡史、津山尚大と日本人選手が得点をつなぎ、26-15とリードして第1クォーターを終える。

この先制攻撃で相手のリズムを崩すのが福岡の狙いだったが、栃木は第2クォーターから見事に立て直した。安齋竜三ヘッドコーチは「開幕戦はどうなるか分からないもの。焦らずに、自分たちがやるべきディフェンスをしっかりして、最終的に1点勝っていればいい」と試合前から選手に伝えていたと言うが、その通りの展開になっても栃木は動じなかった。

ゴール下のデクスター・ピットマンをダブルチームで抑えて起点を潰すと、福岡のオフェンスは途端に停滞することに。立ち上がりは決まっていた強引なシュートも落ちるようになり、栃木にリバウンドから走る得意の展開が出るようになった。3分半で14-1のビッグランで逆転。これは鵤誠司、渡邉裕規、山崎稜、橋本晃佑とベンチメンバーの奮闘で作ったものだった。

ライジングゼファーフクオカ

集中を切らすことなく終盤まで食らい付いた福岡

43-38と栃木が逆転して迎えた後半開始早々、田臥勇太がエリック・ジェイコブセンのオフェンスファウルを誘う。ライアン・ロシターのスピードにも振り切られないフットワークと執拗なディフェンスで、ロシターを無力化していたジェイコブセンだが、これで個人3つ目とファウルトラブルでベンチに下がることに。これで自由にプレーできるようになったロシターが、粘る福岡を振り切る原動力となる。

小林大祐のミドルシュートを飛び出してブロックしたロシターが、そのまま走って得点。福岡がタイムアウトを取った直後の攻めでは24秒でシュートを許さず、逆に栃木は素早いボールムーブで完全にディフェンスを崩し、ロシターのイージーレイアップへとつなぐ。

これで福岡は気持ちが切れてもおかしくないところだが、B1デビューゲームとあって最後まで集中を切らさず、10点前後の点差を保ちチャンスを待つ。最終クォーターに入ると果敢なトラップディフェンスを仕掛けて栃木の勢いを止め、ジェイコブセンの速攻、ピットマンのゴール下、城宝のドライブと連続得点。残り3分40秒で山下泰弘が長距離3ポイントシュートを決めて67-73まで詰め寄り、会場を大いに沸かせた。

渡邉裕規

全員バスケ、ディフェンスとリバウンドでの勝利

それでも栃木は動じなかった。ここから試合終了までを無失点で切り抜け、79-67で勝利したのだ。ラスト3分40秒のリバウンドは栃木の7に対して福岡は2。リバウンドとディフェンスで福岡の気迫に満ちた追い上げをシャットアウトした。

福岡は万全の準備をして迎えたB1デビュー戦で、チームのポテンシャルを示す戦いはできたが、勝ち切るにはまだ積み上げが必要だ。河合竜児ヘッドコーチは接戦ではなく完敗だったと試合を振り返る。「点数的にはあと1本に見えますが、オフェンスリバウンド(4-8)とターンオーバー(14-5)を見ると、やはりこれがB1のトップチームの力だと感じました。ただ、自分たちがすべて劣っていたわけではない。意識すれば確実に、今日よりは改善できます。今日のゲームから多くを学び、今シーズン勝っていくために、ここで違いが出てしまった以上、明日から改善していきます」

この試合ではジェイコブセンのファウルトラブルで流れが変わり、終盤にファウルアウトした後は攻め手がなくなってしまった。帰化選手がいないロスターで戦う以上、外国籍選手に頼らない戦い方、特に勝敗を分けるクラッチタイムにオフェンスを託せる軸を確立する必要がある。

栃木は出場した選手全員がそれぞれの役割を果たし、ディフェンスとリバウンドを重視するスタイルで強みを出し、結果的に勝利した。「自分のスタイルを出す」という意味で格別に目立ったのがロシターだ。わずか5得点と振るわなかった前半もリバウンドでチームに貢献し、第3クォーターに18得点の爆発で勝負を決めた。

今日はかなりタッチが悪かった日のはずだが、それでもチームバスケットに徹し、周囲からイージーなチャンスを提供してもらううちに調子を上げ、最後は難しいシュートも次々と決めてきた。このロシターをいかに止めるか、今シーズンもどのチームも頭を悩ますことになりそうだ。