川崎ブレイブサンダース

ファジーカス「出だしで先制パンチを食らわせることができました」

第97回天皇杯の決勝が3月12日に行われ、川崎ブレイブサンダースが千葉ジェッツに82-72で勝利した。通算5回目の優勝を達成した川崎の佐藤賢次ヘッドコーチは、次のように試合を総括する。

「試合前のミーティングでミスを恐れず、今持っている力を40分間、積極的に一人ひとりがコートで出し尽くしましょうと伝えてスタートし、その通りの前半となりました。ディフェンスでは足を動かしてチームで守れて、オフェンスもゲームプラン通りにアグレッシブにできていました。後半は追い上げられましたが、第4クォーターもディフェンスのマインドが落ちなかった。チームで我慢してディフェンスをやりきれたことが勝ち切れた要因かと思います」

試合の勝因は、なんといっても19点リードと前半で千葉を圧倒したこと。3ポイントシュートを17本中8本成功と外角シュートを高確率で沈めると、オフェンスリバウンドで11-4とするなど、リーグ屈指のサイズ、フィジカルを誇る千葉のインサイド陣を相手にゴール下の肉弾戦を優位に立ったのが大きかった。

本日、13得点8リバウンド6アシストとオールラウンドの活躍を見せたニック・ファジーカスは、指揮官の戦略が見事にハマったと語る。「ヘッドコーチの作ったゲームプランが素晴らしく、出だしで先制パンチを食らわせることができました。自分たちがしっかりと主導権を握れたのはアグレッシブにアタックしていこうというコーチのゲームプラン通りできたからです」

また後半、千葉の追い上げを受け、第3クォーター残り5分で10点差、第4クォーター残り7分で9点差に詰められることはあったが、千葉相手にそのまま楽に勝てるとはみんな考えておらずチームに焦りはなかった。ファジーカスは言う。

「19点リードで折り返しましたが、後半に千葉がやり返してくることは想定内でした。その中で、第3クォーターはマット(ジャニング)が起点となってオフェンスをし、6点しか点差を詰められなかった。そして、第4クォーターにしっかり失点を抑えられたことで、勝利を引き寄せられました」

川崎ブレイブサンダース

指揮官「連覇よりも川崎のバスケができたことに達成感を感じています」

これで川崎は大会連覇となったが、佐藤ヘッドコーチは「連覇のことはチームで何も話していないですし、自分も意識していなかったです」と言う。

そして、連覇達成よりもうれしかったことがある。「それぞれが持っている力を全部出し尽くすのがテーマで、それを達成できたのが本当にうれいしいです。プレーした選手はみんな下を向いたりせず、ずっと積極的にやり続けてくれたことで、ビッグプレーも出て、会場が一つになる瞬間がたくさん出ました。連覇よりも川崎のバスケができたことに達成感を感じています」

前半だけで17得点を挙げ、試合全体で25得点を挙げてMVPを受賞した藤井祐眞も続ける。「連覇のことはチーム内では一切言っていなくて、一人ひとりが優勝に向かってやるべきことを遂行して、コートに立った人がしっかり仕事をこなした結果です。連覇とか意識せず目の前の試合に集中して臨めた良いゲームでした」

川崎としては今シーズン一冠目の余韻に長く浸りたいものだが、リーグ戦は16日に始まる。そして、フルメンバーが揃った3月5日の試合から、今日を含めてこれで3連勝をマークしている。

「一発勝負の決勝という大きな舞台に全員が揃って、みんなで目指していた川崎のバスケットをしっかりとやることができて本当に良かったと思っています」と佐藤ヘッドコーチが語ったように、役者が揃ったときの強さをしっかり見せられたのは今後に向けても大きな自信となるはずだ。