文・写真=泉誠一

1カ月遅れでのホームゲーム登場に「ホッとしました」

NBL2013-14シーズン、千葉ジェッツの石井講祐は練習生からトップチーム昇格を果たす。その後はシーズン毎にプレー時間を増やし、先発を任されるまでに成長を遂げてきた。4シーズン目を迎え、Bリーグとなった今シーズンの活躍を楽しみにしていたが、よもやの開幕から4試合出場機会なし。

「蜂窩織炎(ほうかしきえん)という感染症になり、ヒザが腫れてしまいました」

体調不良を訴えたのは、なんと開幕前日の朝。

急な腫れに襲われるとともに、開幕に合わせてコンディションとテンションを上げていたにもかかわらず、「最悪のタイミングでした」と出鼻をくじかれる。開幕から2週連続のホームゲームだったのに、その2週間は安静にしていなければならなかった。

遅ればせながら、3週目のアルバルク東京とのアウェー戦から無事に開幕を迎える。24分出場で9得点の活躍、80-76と自身のBリーグ初戦を勝利で飾った。続く秋田遠征を経て、1カ月遅れの10月22日に船橋アリーナ登場。「ホームで試合に出られて、ホッとしました。やっと皆さんの前でプレーを見せることができました」と安堵の表情を浮かべる。

そのレバンガ北海道戦は80-65で快勝。石井は15点、3ポイントシュート4本を成功させた。追い上げる北海道に対し、再三3ポイントシュートを決めて突き放していく。シューターとして認められてロスター入りを勝ち獲ったが、「自分の強みはシュートの他にもリバウンドとディフェンス。そこでチームに貢献することを第一に考えています」と、今では石井の武器は多岐にわたる。

北海道戦でも、3ポイントシュートを打つと見せかけてドライブで抜いて周りを生かすバリエーションが増えていた。「ドライブからのアシストは、昨シーズン中に少し幅を広げられた部分です。今シーズンはその精度をさらに高めていって、もっとプレーの幅を広げていきたい」と貪欲だ。

4人のヘッドコーチから貪欲に学び、プレー幅を拡大中

プロとなった4シーズンの間に、レジー・ゲーリー(現・名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)、ジェリコ・パブリセビッチ、佐藤博紀、そして今シーズンから指揮を執る大野篤史と4人のヘッドコーチに師事してきた。

「コーチによってディフェンスであったり、プレーの仕方はそれぞれ違いましたが、逆に自分にとってはバスケットの知識やプレーする幅を広げられることにつなげられました。この3年間はプラスしかなかったです。今年も大野さんになって、新しい戦術や哲学などすごく学ぶことができるので、いろんなコーチに教わることでプレーの幅が広げられているのはすごく自分のためになっています」

プロとなってまだ4シーズン目だが、東海大学卒業後、富士通でプレーした脱サラプロ選手の石井は今年で29歳。小野龍猛と同い年であり、bjリーグからNBLへとクラブ自体が移籍した2013-14シーズンからともに千葉を支えてきた。

「試合中は富樫(勇樹)とか、コート上でリーダーシップを取れる選手もいるので、任せるところは任せつつ、うまくチームを締めながらバランス良くやっていけばいいと思っています」とチームを引っ張る役割も担っている。

目下の目標は、日本代表に選出されることだ。千葉には日本代表経験者も多く、「龍猛や伊藤(俊亮)さんはスクリーンのかけ方をすごく細かく教えてくれますし、(西村)文男さんも同じガードとして動き方は勉強になります。チームメートにレベルが高い選手が多いことが、自分の成長にもつながっています」とアドバイスを受けながら日々成長を続けている。

「まだまだ伸びしろはあると思ってやっていますし、練習してきたことを試合で出せた時が一番うれしい」とも話しており、毎試合何かしらの喜びを感じながら、次の試合でも一回り大きくなっていくことだろう。

次戦となる今週末は、アルバルク東京を船橋アリーナに迎えるホームゲームが待っている。