広島ドラゴンフライズ

ここ一番で主力が活躍し、ミスの目立った宇都宮との接戦を制す

広島ドラゴンフライズがホームに宇都宮ブレックスを迎えた第2戦。シーズンハイ(タイ)の25得点を挙げた寺嶋良の爆発力で流れを引き寄せると、最後まで運動量が落ちないタフなディフェンスが光り72-67で競り勝った。前日に14点差で敗れた雪辱を果たした広島は連敗を5で止めている。

立ち上がりにペースをつかんだのは宇都宮で、チームオフェンスからジョシュ・スコット、アイザック・フォトゥがペイントアタックを決めて10-4と先行する。広島はビッグマンがスクリーンプレーで続けてオフェンスファウルを取られるなどもたついていたが、終盤に連続ターンオーバー奪取と守備で立て直す。続けてニック・メイヨが持ち前の得点力を発揮したことで、17-19と互角の展開に持ち込んだ。第2クォーターに入ると、ともに足がよく動くハードな守備を披露。ズレを作らせずに相手にタフショットを多く打たせることで得点は伸びず、宇都宮の32-28とロースコアで前半を終えた。

試合が動いたのは後半の出だしだった。広島は寺嶋がいきなりの連続3ポイントシュート成功で波に乗ると、さらにペリメーターからのジャンプシュート、スティールからの速攻を決めるなど、約1分半で10得点を挙げる。この大爆発により、広島は第3クォーター残り3分半で52-42とリードを2桁に乗せた。

それでも、宇都宮は前半は無得点に終わった比江島慎が連続で3ポイントシュートを成功させ、続けてドライブからナイスパスで味方の得点を生み出すなど、エースの本領発揮によって盛り返す。第4クォーターは互いにターンオーバーが目立って再び膠着状態となり、残り1分の時点で同点と白熱の戦いとなった。

この勝負どころで広島は、第3クォーターまで無得点もこのクォーターで7得点を挙げたグレゴリー・エチェニケが持ち味のパワーアタックによってフリースローを誘発し、残り17秒で3点をリードした。

ここでタイムアウトを取った宇都宮は、遠藤祐亮がゴール下に切り込んでのキックアウトから、ノーマークでコーナーにいる比江島へと見事なパスが通る。しかし、ここで比江島にラインクロスが宣告される痛恨のターンオーバーで千載一遇のチャンスを逃してしまう。試合全体で18のターンオーバーを喫し最後もミスを犯してしまった宇都宮に対し、広島はファウルゲームで辻直人がダメ押しのフリースロー2本を確実に沈めて激闘に終止符を打った。

広島はチーム全体での激しいディフェンスに加え、第3クォーターだけで14得点を挙げた寺嶋が25得点5アシスト4スティールと大活躍。また、辻は8得点7アシストと攻撃の起点として奮闘し、エチェニケがここ一番で得点と、チームの核となる選手たちがしっかり仕事を果たしたのが大きかった。

ヒーローとなった寺嶋は「ここで勝たないと、後半戦は絶対に勢いに乗れないので、勝てたことは本当にホッとしています」と語り、価値のある勝利に胸をなでおろした。司令塔が強調したように、広島にとって強豪の宇都宮に競り勝ちチャンピオンシップ戦線に踏みとどまれたことは、ここからの巻き返しへ勢いを与えるものとなりそうだ。