トレイ・ヤング

「これで勢いに乗っていかないといけない」

現地2月1日、サンズに完敗を喫したネッツの指揮官スティーブ・ナッシュは「今のNBAで最強のチームだ」と、その強さに脱帽した。しかしその2日後、サンズの連勝を11で止めたのがホークスだった。

昨シーズンに大躍進を見せたホークスだが、今シーズンのほとんどを勝率5割ラインの下で過ごす苦戦を強いられている。それでも1月中旬からは7連勝を記録して復調の気配を見せていた。先のラプターズ戦を落として連勝は途切れたが、これはトレイ・ヤングが肩に痛みを抱えて休養した結果。肩の状態を「100%と言いたいところだけど、そうはいかない」と彼は説明するが、エースの復帰でホークスに勢いが出たのは間違いない。

第4クォーター開始時点で10点前後のリード。今のサンズの好調ぶりを考えれば、少しでももたつけば一気に逆転されかねない。それでもホークスは崩れず、試合を通じて43得点と大暴れしたヤングはラスト2分で7得点を固め、サンズ撃破の立役者となった。

「リーグ最強のチームが記録的な連勝を続けている。全国放送された試合でもあった。いつだってベストを尽くすけど、特にそういうシチュエーションでは自分の出番だと僕は思うんだ。11連勝はすごいことだけど、そう思うと集中が研ぎ澄まされる気がする。だから、そういう瞬間が大好きなのさ」とヤングは言う。

デビン・ブッカーとの点の取り合いは見応えがあった。フィールドゴール27本中13本を決めたブッカーは32得点、ヤングは25本中16本を決め、ブッカーが1本しか成功させられなかった3ポイントシュートも6本沈めて43点と上回った。ただ、自分がリーグ最強のスコアラーかと問われると、「そう考える必要がないから分からない」とヤングは言う。

「僕はいつもチームのことを気にしているし、勝つために自分に何ができるかを考える。でも一つだけ言えるのは、僕みたいな選手を抑えるのは大変だろうな、ってことだ(笑)」

サンズのディフェンスは用意周到に策を仕掛け、ヤングにタイミングの良いダブルチームを仕掛けて潰そうとしてきた。それでも彼はプレッシャーをかわして得点し、あるいはパスをさばいてチームのオフェンスを動かしている。その秘訣を「中学からずっとダブルチームを受けているから、経験豊富なんだ」と彼は説明する。「慌ててボールを失うのが一番いけないこと。相手がダブルチームに来た瞬間、僕は『4対3のシチュエーションができたぞ』と思うようにしている。チームメートも良いポジションを取ってくれるから、落ち着いて状況を見るのが大事なんだ」

ホークスはまだ25勝26敗と負け越しており、順位も東カンファレンス10位とプレーイン・トーナメント進出圏。それでもヤングは、サンズ相手の勝利が自分たちに良い流れをもたらすと信じている。

「サンズ相手に勝つのは大変だよ。CP(クリス・ポール)は試合全体をコントロールできるし、ブッカーのような得点能力の高い選手もいる。まだ10敗しかしていないなんて、本当にすごいことだ。勝とうと思ったら48分間ベストを尽くさなきゃいけない。今日はそれができた。だからこそ、この勝利は僕たちにとって大きい。これで勢いに乗っていかないといけない」