「オリンピックメンバーから夢をもらって負けられないと思った」
バスケットボール女子日本代表は2月10日から13日にかけて行われる女子ワールドカップ予選2022に向けて、強化合宿を行なっている。
今回の代表候補選手19名は、主に東京オリンピック組とアジアカップ組の融合となっているが、その中でも注目なのは渡嘉敷来夢の代表復帰だ。
日本代表の絶対的エースとして髙田真希とともに、日本のインサイドを支えていた渡嘉敷だったが、膝のケガの影響で東京オリンピックには出場できなかった。世界を相手にするとサイズが劣る日本代表にとって、193cmの渡嘉敷の離脱は痛手でしかなかったが、女子日本代表のトム・ホーバス前ヘッドコーチは、渡嘉敷が出場できないとなると、すぐさまスモールボールへと振り切り、スピードと3ポイントシュートを武器に日本代表を東京オリンピックでの銀メダル獲得へと導いた。
東京オリンピックの舞台に立ちたかったという思いは、渡嘉敷も強かったはずだ。それでも彼女は、世界と戦い、銀メダル獲得という快挙を成し遂げた仲間の活躍を見て、「オリンピックメンバーもそうですし、アジアカップで戦った若い子たちの結果を受けて、すごく夢を与えられました。自分もその舞台に立ちたいし、負けたくないという思いが強くなりました」と語る。
恩塚亨ヘッドコーチは選手に「どんな自分になりたいか?」というテーマを投げかけているが、渡嘉敷は「自分はオリンピックに出られなかったけど、オリンピックメンバーから夢をもらって負けられないと思ったので、『世界で通用する選手になりたい』と恩塚さんに伝えました」と自身の理想像を語る。
久しぶりの代表合宿については「一日一日を有意義に過ごせていると感じています」と柔らかな表情で語った。「トム(ホーバス)さんとは違ったバスケットスタイルで、最初は慣れるのに時間がかかりましたが、今は浸透してきて、いつもと違ったスタイルのバスケットで、自分自身もこれからどうなるのか楽しみです」
ホーバス前コーチのバスケットはそれぞれの役割が明確だったが、恩塚コーチのバスケットは選手のプレーの幅を広げ、それぞれこれまで以上の判断力が必要になってくる。渡嘉敷自身も「センターがセンターらしくない動きをしていて、運動量は普段よりも間違いなく多い」と言う。その中でもコーチからは「自分は日本の中では高さが一番あるので、リバウンドやペイント内でミスマッチになった時に積極的に点を取ってほしいと言われた」とし、コーチの期待に応えられるように頑張りたいと意気込んだ。
日本代表はワールドカップ本戦の出場権をかけて、ボスニア・ヘルツェゴビナ、カナダ、ベラルーシと対戦する。ケガから復帰した日本のエース、渡嘉敷が久しぶりの国際大会でどんな戦いを見せてくれるのか期待が高まる。