司令塔としても充実「考えながらプレーをコールできている」
名古屋ダイヤモンドドルフィンズは、1月26日の水曜ゲームでアルバルク東京と対戦。リーグ有数の堅守を誇る相手に対し、1試合平均90点と持ち味のオフェンス力を爆発させて86-80で勝利した。
最終的には僅差での決着となったが、内容を見てみると名古屋Dは第2クォーター以降ずっと2ポゼッション以上のリードを保っており、試合の主導権を渡さずに勝ち切った、スコア以上の充実ぶりが目立った。
この『強い勝ち方』にチームを導いたのは司令塔の齋藤拓実だ。28分の出場でフィールドゴール14本中9本成功の20得点6アシスト3リバウンドに加え、ターンオーバーは1つのみ。また、点の取り方も2-8と先制を許した後で悪い流れを断ち切る連続得点。さらに最大17点のリードを5点差にまで追い上げられて迎えた残り41秒で、8点差へと突き放す3ポイントシュートなど第4クォーターに9得点をマーク。試合の肝となる部分で得点を取る『大黒柱』と呼ぶべきパフォーマンスだった。
「東地区の強豪チームと対戦する機会がなかなかなかったので、自分たちが勝率を上げてきた中でどれくらい強豪相手にできるのか、チームとしても楽しみで士気が高くなっていました」
試合後会見の冒頭で齋藤がこのように語ったように、名古屋Dにとって東地区の上位チームとの対戦は、連敗を喫した開幕節のサンロッカーズ渋谷戦以来だった。その中で、こうしてA東京に攻め勝ったことに手応えを得ている。
「試合の入りは簡単にやられてしまった部分もありましたけど、選手同士でしっかりコミュニケーションを取って対応できました。第3クォーターの最初、簡単にリードを1桁に縮められてしまいましたが、自分たちのやりたいバスケットをアルバルクさんも止めるのは難しかったと思います」
「狙えるチャンスがあったらしっかり打てていた」
もちろん、現状に満足しているわけではない。今回も17点リードからのもう一押しで20点以上に差を広げて勝負を決めきれず、終盤に追い上げを許したことを反省点に挙げる。ただ、総体的に言えばチームとしてだけでなく齋藤自身としても、今の方向性に自信を深めることができた。
「個人としても上手くボールをシェアしながらしっかり切り込んでいけました。A東京のディフェンスはあまりオーバーヘルプをしないので、ピック&ロールから自分がシュートを狙えるチャンスがあったらしっかり打てていたのは良かったと思います」
また、今の齋藤はもともと定評のあった得点力に加え「時間と点差を見てコントロールをしなければいけないところ、このセットオフェンスが効いているのか考えながらプレーをコールできている」と語るように、自ら行くべき時、周りを使うべき時の判断をより的確にできるようになった。だからこそ20得点6アシストの数字以上に、試合を支配していた印象がある。
12月以降、勝利を積み重ねてきた勢いがフロックでないことが強豪相手の一戦で証明した。そして齋藤の充実ぶりがあらためて際立つ試合でもあった。このまま週末の宇都宮ブレックス戦でも勝ちを重ねていけるのか、その大事なキーマンが齋藤であることは間違いない。