球団社長に就任したブラッド・スティーブンスが早くも動き出す
セルティックスはダニー・エインジが第一線を退くことを表明し、長くヘッドコーチを務めたブラッド・スティーブンスが新たな球団社長としてチーム編成の舵取りを担うことになった。最初の仕事は後任のヘッドコーチ選びであり、具体的な補強はしばらく後になると見られていたが、彼は早々に動いた。先発ポイントガードのケンバ・ウォーカーに今年の1巡目指名権、2025年の2巡目指名権を合わせ、サンダーとのトレードをまとめたのだ。サンダーからはアル・ホーフォード、モーゼス・ブラウン、2023年の2巡目指名権がセルティックスに渡る。
ケンバはこの2シーズン、膝のケガで100%のコンディションを取り戻せず、残り2年で7300万ドルの契約が重いものになっていた。セルティックスは今回のトレードで、その負担から解放されることになる。アル・ホーフォードも2年5200万ドルの契約を残しているが、その一部は保証されていない。ホーフォードにとっては2年ぶりのセルティックス復帰で、セブンティシクサーズではチームにフィットできず、サンダーでは若手にプレータイムを譲って存在感を失っていたが、古巣でもう一花咲かせたいところだ。
それでも、同時に獲得したモーゼス・ブラウンもセンターで、このポジションにはトリスタン・トンプソン、ロバート・ウィリアムズ三世と選手が多すぎるため、ここからまたトレードがありそうだ。
そして、ケンバの年俸から解放されたと同時に、先発ポイントガードを探さなければならない。エバン・フォーニエはフリーエージェントで、マーカス・スマートも残る契約は1年。ペイトン・プリチャードやロミオ・ラングフォードは主力に据えるには経験が足りない。余剰戦力となるセンターをトレードの駒にする、あるいはフリーエージェントでケンバの穴を埋める選手を取る必要がある。サラリーキャップに余裕はできたが、戦力がアップしたわけではない。スティーブンスのチーム作りは、まだまだこれからが本番だ。
若く将来性のあるチームでリーダーシップを発揮していたケンバにとっては、今回のトレードは悔しいものだろう。しかし、サンダーは彼のようなベテランをNBAのトップレベルへと再生させてきた実績がある。この2シーズン、セルティックスを勝たせるという目標は果たせなかったが、彼自身のプレーは決して悪くはなかった。膝さえ完治させれば、再び優勝を争うチームで主役を演じられるはず。その過程でサンダーは、また『良いビジネス』をすることができる。
ケンバ・ウォーカーとアル・ホーフォード。2人のベテランにとって今回のトレードは復活のきっかけになり得る。