宇都宮ブレックスは、Bリーグ初年度からライアン・ロシター、ジェフ・ギブス、竹内公輔とリーグ屈指の強力インサイド陣を擁し、リバウンドを制することで勝利を積み重ねてきた。そして今シーズン、Bリーグ初年度以来となるファイナル進出を果たせたのは、この強みが増したことも大きな要因となっている。その立役者がジョシュ・スコットだ。過去2シーズンは故障に苦しみ、一昨シーズンは27試合、昨シーズンはわずか4試合の出場に終わっていたが、今シーズンはレギュラーシーズンの59試合に出場し、チャンピオンシップでもフル稼働している。新天地で見事な復活を果たしたビッグマンに、大一番に向けての意気込みを聞いた。
「ブレックス・メンタリティは勝者の文化」
──まずはファイナル進出おめでとうございます。2連勝で勝ち上がったセミファイナルの川崎ブレイブサンダースを振り返ってもらえますか。
川崎は本当に強いチームなので、2つのタフな勝利を挙げることができてハッピーです。目の前の試合に集中して初戦を勝ち、2試合目は素晴らしいプレーができました。初戦は相手のビッグラインナップに対応し、ペイントエリアとリバウンドを支配し1ポゼッション差で勝てました。2試合目は、相手がいろいろと変えてきたところもありましたが、僕たちはそれにアジャストし、3ポイントシュートをよく決めたことが勝因になりました。
──スコット選手のこれまでのキャリアで、リーグ戦からのファイナルは経験がありますか。
初めてのファイナルなので、とても興奮しています。この舞台に立つためにずっと準備をしてきて、緊張はありません。今シーズンは東地区を制し、レギュラーシーズン最高勝率を残しました。これはどれだけ僕たちがチームとして戦い、みんなが勝利のために自己犠牲を払ってきたのかの証明です。ファイナルはアスリートとして待ち続けてきたもので、「I am ready」です。
──加入1年目ですが、もともと宇都宮についてはどんな印象を持っていましたか。
面白いことに日本で最初のシーズンに所属した島根スサノオマジックで、初のホームゲームで対戦したのが、優勝した翌年のブレックスでした。僕たちは1つ勝てたけど、その後に在籍した琉球ゴールデンキングス時代の対戦でも常に接戦で、ブレックスの強さは分かっていました。
──宇都宮の強さを示す言葉として『ブレックス・メンタリティ』の存在は知っていましたか。
チーム加入前から聞いたことはありました。全員がルーズボールに飛び込み、ポゼッションを一つでも増やそうと懸命にプレーする姿を対戦相手としても見ていたからです。これこそが勝者の文化で、ブレックスが常勝チームになった理由だと思います。
「自分のプレーを取り戻せるとずっと信じていました」
──スコット選手自身についでですが、過去2シーズン連続で右膝の故障によりシーズン途中に離脱しています。そこからの復帰にあたり、不安を感じることはありましたか。
昨シーズンの故障については手術をせずに済みました。それが分かった時は本当に幸せな気持ちでした。あとは地元に帰り、復帰のため100%の状態に戻すことのみに集中していました。ケガなくシーズンを戦い抜くことは目標の一つで、試合に出場することにプライドを持っています。こうして健康でいられることを神に感謝しています。
2回目の手術は避けられたし、ケガさえなければチームに貢献できると自分の力には自信を持っていました。そしてブレックスが同じように僕の能力を信じてくれたのは、本当に大きな意味がありました。
しっかり準備はできていましたが、それでも8カ月、9カ月は実戦から遠ざかっていたので、最初は少しナーバスになっていました。ただ、幸運にもブレックスはとても選手層の厚いチームなので、アジャストするのは簡単でした。試合を重ねるごとにより調子は上がっていき、毎日のように強さを増していく手応えはありました。
──2年続けて長期離脱したことで、再び活躍できるのか周囲の疑いの視線をどのように捉えていましたか。
プレッシャーはなかったです。常にポシティブな気持ちを持ち続けていましたし、自分への懐疑的な見方はそれを覆したいというモチベーションにしていました。ネバーギブアップで、自分のプレーを取り戻せるとずっと信じていました。
──川崎戦は2試合合計で70分近くと、これまでになく出場時間が長くなりましたが、疲れは残っていませんか。
僕は27歳と若いですから、全く問題ありません。それに、ここまでケガに苦しんできたので、試合でプレーすることを楽しんでいます。1試合プレータイムが25分から30分に、また40分に伸びたとしても、チャンピオンになるため戦い続けます。コンディションを心配する日々はもう過ぎ去りました。
「僕たちの強みの一つがインサイドであることは証明できています」
──ファイナルの相手となる千葉ジェッツも強力インサイド陣を誇ります。ゴール下でのリバウンド争いでどちらか主導権を握れるかが大きなポイントになってきます。
自分たちのやってきたことには自信はありますし、僕たちの強みの一つがインサイドであることは証明できています。千葉のメンバーは強力でハードな戦いになることは分かっていますが、僕たちには多くの優れた選手がいて、このマッチアップに大きな自信を持っています。
──あらためてファイナルへの意気込みを教えてください。
僕はオフェンスリバウンドのスキルがあると思っています。走るのが好きだし、ルーズボールを追いかけます。常にオフェンスで自分のところにボールが来るわけではないかもしれません。たとえリバウンドを取ったり速攻に絡む機会が少なかったとしても、勝利のために自分のできることをやり続けるだけです。
多くの困難を乗り越えてきたことで、大舞台の準備はできています。チームにとっては天皇杯の敗退、個人としては2度の大きなケガから多くを学ぶことができました。セミファイナルで川崎に勝てたのも、失敗や困難から学び続けてきたことの証明です。今はまさに「時は来た」という心境です。
──それでは最後に、ファイナルでのプレーを期待しているファンへのメッセージをお願いします。
僕を受け入れてくれた皆さんのおかげで、楽しいシーズンを送ることができていて、とても感謝しています。横浜アリーナでも皆さんのためにプレーするのを楽しみにしています。
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