「本当に頑張ってくれたウチの選手を誇りに思っています」
「今までプレーオフやチャンピオンシップをいろいろと経験していますが、これほどコンディションが悪い状態でチャンピオンシップを迎えたのは初めてでした。ケガ人もいるし、100%の状態じゃない中で本当に頑張ってくれたウチの選手を誇りに思っています。そしてアウェーにもかかわらずたくさんの方がシーホース三河の応援に来てくれて、本当に私たちは皆さんの温かい応援に助けられました。本当に一年間ありがとうございましたと言いたいです」
「バスケットにかかわる人たち、メディアや運営の方、シーホース三河のスタッフを含め、本当に一生懸命に頑張っている人たちの姿を見て、我々もエネルギーを与えられて一生懸命頑張ることができました。シーズン当初は調子が良かったですが、途中でコンディションを崩していまい非常に悔しいシーズンとなりましたが、精一杯やったなと、やり切ったなという気持ちでいっぱいです」
シーホース三河の鈴木貴美一ヘッドコーチは、5月16日のクォーターファイナル後の会見で、シーズンをこう振り返った。レギュラーシーズン終盤からケガ人が増え、インサイド陣は足を負傷しているダバンテ・ガードナーとシェーファー・アヴィ幸樹のみという状況でチャンピオンシップに挑んだ。第1戦は序盤から千葉ジェッツに主導権を握られ76-105と大敗を喫したが、第2戦では最大16点のビハインドから2点差まで詰め寄る接戦を繰り広げた。
「前半はオフェンスでちょっと肩の力が入ってしまい、そこでエネルギーを使ってリバウンドや速攻をやられてしまいました。ハーフタイムで『頑張るところが違うよ、もっとオフェンスはリラックスしてやらないと』と選手に伝えたら、後半はみんながオフェンスで我慢して、ディフェンスやリバウンドにフォーカスしてやってくれてあと一歩のところでしたが、残念ながら敗退してしまいました」
鈴木ヘッドコーチが言うように第2戦での三河は、後半になるとゾーンディフェンスでゲームを立て直し、その勢いをオフェンスへと繋げて猛攻を見せた。
「得点が入らないとバスケットは面白くない」
千葉との第2戦では後半からディフェンスにフォーカスしたことでリズムを取り戻したが、三河はリーグトップクラスのシューターである金丸晃輔に、2017-18シーズンから3年連続で得点王に輝いたガードナーなど、オフェンス力に長けた選手が多いチームだ。
そんな『オフェンスのチーム』に対して、ディフェンスのマインドを植え付けることは「すごく難しかったです」と鈴木ヘッドコーチは明かした。
「オフェンスマンはあまりディフェンスをやらないんです。なので、その子たちに『ディフェンスをやれやれ』と言いすぎると、オフェンスがダメになってしまう。それでオフェンスがダメになってしまうと、今度は出番もなくなってしまう。なので、苦手な人たちのことはチームでカバーしないといけない」
こう語ると、鈴木ヘッドコーチはバスケットに対する考えを続けた。「ちょっとオフェンス力が落ちても、ディフェンスをやる選手がいればいい、という話にもなりますけど、僕自身は長いことやっていて、得点が入らないとバスケットは面白くないなと思っています。ちょっとオフェンスマンを集めすぎたのはありますが、そこは上手くチームの約束事をやらせながらやってきました。昨シーズンは酷かったですが、今シーズンはディフェンス力もリーグで真ん中よりも上の方に上がって来たので来シーズンに繋げたいです」
オフェンスの力を落とすことなく、ディフェンス面の向上も見られた今シーズンだが、それ以上に指揮官は長野誠史や熊谷航、シェーファーといった若手の成長を喜んだ。
今シーズンは控えのポイントガードに回った長野と熊谷だが、ベンチから出場してゲームの流れを変える働きをした。特にチャンピオンシップでの彼らの活躍は素晴らしく、指揮官も「チャンピオンシップでも成長してくれた」と称えた。「負けはしましたが、若手の成長は非常にうれしいというか、救いかなと思います。何も残っていなければ、ただ負けたで終わりでしたが、若手の成長があって良かったです」
クォーターファイナル敗退という結果で2020-21シーズンの幕を閉じた三河だが、得たものは多かった。今シーズンに得たものをどれだけ来シーズンに生かすことができるか。これからの挑戦に注目だ。
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